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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

EU、台湾との関係強化「インド太平洋戦略」に明記へ

 EU(欧州連合)は近くまとめる「インド太平洋協力戦略」で、台湾との関係強化を打ち出します。

 人権や民主主義を巡って中国との関係が悪化するなか、経済面や地政学的観点から台湾の重要性は高いとみて、半導体のサプライチェーンや個人データの流通、貿易投資関連の協力を深める方針です。

 日本経済新聞社が入手した戦略の原案によると、世界的に不足している半導体の供給網強化を巡っては、台湾と日本、韓国の名前を挙げて協力を深める意向を示しています。
 貿易や投資協定を結んでいない国・地域との関係を強化するとも表明し、台湾を例示しました。
 貿易関係を多様化し、柔軟性のある供給網を整備する狙いがあります。

 さらに、EUと相手先の個人データの自由な流通を認める十分性認定の協議に入る可能性にも言及しました。
 EUは一定の基準を満たさなければ、域外へのデータ移転を認めておらず、既に合意済みの日本を含め、自由なデータ流通圏をつくる狙いもあります。

 EUでは台湾との関係強化を求める声が強まっています。
 欧州議会の外交委員会は令和3年9月1日、EUと台湾との関係強化を求める報告書を賛成多数で採択しました。
 台湾を「重要なパートナー」と位置づけた上で、EUにある台湾当局の出先機関に現在の「台北」ではなく「台湾」の名称を使ったり、EU・台湾の投資協定締結に向けた影響評価を実施したりするよう求めています。

 これらの背景にはEUと中国との関係が悪化していることがあります。
 EUは令和3年3月、少数民族ウイグル族の不当な扱いが人権侵害にあたるとして、中国の当局者らに約30年ぶりとなる制裁を決めました。
 中国はこれに即座に反発し、欧州議員らに報復制裁を発動しました。

 中国の人権や民主主義への取り組みに批判が高まり、EUは令和2年12月に中国と大筋合意した投資協定の批准手続きを事実上凍結しています。


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