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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

「年金の財源は消費税」は正しいか

 自民党の総裁選に出馬を表明している河野太郎行政改革大臣が、各新聞社の取材に対し「年金に最低保障は必要だ」「年金の最低保障部分は保険料ではなく、税でやるしかない」と話し、「応分に能力のある人に負担してもらうことを考えると、消費税がいい」と語ったそうです。

 河野大臣の持論らしく、平成24年に、自身のブログにおいて「基礎年金を満額、必ず支払うためには、保険料の徴収をやめ、税で基礎年金を支払う必要がある」「消費税を基礎年金の財源とする方式であれば、買い物をするたびに必ず消費税を支払うので、未納や免除は生じないので、全ての日本人が65歳になれば満額の基礎年金を受け取ることができるようになる。高齢者の生活保護も廃止できる」「消費税ならば消費金額に応じて年金財源を負担することになり、現在の収入の多寡にかかわらず一律金額の保険料を徴収する方法よりも公平」「消費税方式の基礎年金ならば年金保険料徴収業務が不必要になり、現在、年間約650億円かかっているコストが不要になる」「消費税方式ならば年金受給者も消費税を負担するため、世代間格差の是正にもつながる。専業主婦も消費税を負担するため、三号被保険者問題も解決する」と述べています。


 年金の性質は「国家による」「強制」「長生き保険」というべきものです。
 若いときから(日本では20歳)から高齢になるまで(日本では60歳)保険料を支払います。そして、ある一定の歳になると(日本では65歳)年金をもらえます。
 若い人の保険料を、そのまま、高齢者の年金として支払います。若い人が支払った保険料を、高齢になって年金として受け取るわけではありません。

 だいたい、働いているときの収入の50%が支払われる年金の目安となります。

 長生きする人もいれば、短命の人もいるでしょう。
 年金がもらえる年齢になる歳までいきられなかった人の年金は、すべて没収され、長生きした人の年金の資金に充てられます。年金の受領をはじめてすぐ66歳、67歳で亡くなるか違います。やはりほぼ全額没収です。

 ただ、日本の場合、少子高齢化のため、20歳から60歳まで年金を支払い、65歳から年金をもらったのでは、50%にはなりません。

 20歳から60歳まで保険料を支払い、70歳から年金をもらうくらいで妥当なところでしょう。
 65歳で年金をもらいはじめるから、受け取る年金が、働いていたときの50%に足りなくなるということですね。

 ただ、年金には、1階部分(基礎年金)と2階部分(厚生年金・共済年金)があり、1階部分(基礎年金)の50%は税金から出ています。

 河野大臣の主張は、保険料を徴収せず、年金を税金で支払うというもので、おそらく、そんな国は存在ないと思います。

 税金は税金、年金は年金です。税金はたくさん納付したからといって、特別なサービスを受けられるというわけではありませんが、年金は、概略、支払った額に比例して多くの年金を受給できます。

 なお、税金で年金を支払うと、税金がとんでもない金額になります。
 旧民主党政権の掲げた「月7万円の最低保障年金案」の場合、消費税を8%プラスしても難しく、いったい何%上がるのかということで頓挫したという経緯があります。

 また、現実に、受給を開始している高齢者と、保険金納付を始める熟年壮年者を比較すると、投票率が高く、人口も多い高齢者が一方的に損をして(保険料は納付済みなのに、消費税化されると納税義務が発生します)黙っていませんから、実現は不可能です。

 河野大臣は、あまり年金の知識はないようです。
 ただ、すべてについて総理大臣が知っている必要もなく、現実をつきつけられれば意見は代わらざるを得ませんから、一概に、総理大臣不適格というわけでもありません。
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