西野法律事務所（法律問題のことなら大阪 弁護士会・西野法律事務所にご相談下さい)

　ＪＲ東海道線の車掌が、架線に長さ約５メートルのビニールが絡まっているのを発見し、運転指令に報告したことがありました。

　運転指令から車掌への連絡は「とってほしい」で、「写メで『撮って』、送信してくれますか」という趣旨だったのですが、車掌は、垂れ下がった架線のビニールを、つかんで『取って』ほしい（除去してほしい）という趣旨と理解し、１５００ボルトの電流が流れている架線のビニールをつかんで取除いたそうです。

　幸い感電ということはなかったそうですが・・

　日本語（大和言葉）は「とる」ですが、中国語（漢字）にすると「取る」「撮る」「採る」「捕る」「執る」「盗る」「摂る」「獲る」などといろいろな意味があります。


　漢字の豊富なことに驚きます。
　「大和言葉」は「とる」だけですから。

　英語でも、「取る」は「take」、「撮る」も「take（a picture）」ですから、日本語の語彙が少ないと考えるより、中国語の語彙が多いと考えた方がいいのかも知れません。

　日本人が、漢字を「取入れた」のは「正解」かも知れません。
　大和言葉だけでは「言葉」の関係で抽象的な思考はできないでしょう。

　少し前のコラムでふれましたが「東京大学大学院・留学生３０万人計画実現に向けて」をご覧下さい。

「　思い起こせば、東京大学が開学された約１３０年前（１８７７年）には、教授の総数は６６名で、うち２８名が著名なベルツやモースを含む外国人教授でした。したがって、明治初期の東京大学では英語による講義が半分近く占めていたと思われます。今に残る当時の学生のノートや卒業論文が英語で記載されていることからもそれが窺えます」

　その後、英語等の「抽象語」を「漢字」を組み合わせて作成し（「哲学」「民主主義」「共和国」など）、日本語だけで、大学教育を受けられるようになったのは、ご存じのとおりです。

　「漢字」の「抽象語」は、本場中国に「輸出」しています。

　また、ワープロ、パソコンにより、日本語が、誰でも「タイプ」できるようになりました。

　日本人の英語下手は有名です。

　日本語で何でもできてしまうと、外国語の習熟に不自由が出ることは、皆さんご存じのとおりです。
　また、外国旅行ならツアーで安くいけますし、翻訳本は、いち早く出回ります。

　ちなみに、やはり、大国であるドイツも、英語と似ている言語ですが、ほとんど、しゃべれない人がいます。

　私が留学していた４０年前に、あるドイツ人が「今、英語がしゃべれないのは５０歳以上だけ。その人たちが死亡すれば、全員ドイツ語がしゃべれるようになる」と言っていましたが、全くの見込み違いでした。

　やはり、大国であるフランスも同じです。

　ただ、フランス人にも、結構、英語を話す人が増えています。

　ドイツは、英語が話せない人が少数派、フランスは、英語の話せる人が少数派です。