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2023年バックナンバー

雑記帳

年金だけで生活している高齢者世帯が24%に急減

 老後生活の基礎となるは年金です。原則として65歳になると老齢年金を受給できるようになります。

 厚生年金に加入している場合のモデル年金は夫婦2人で月額21万9593円です (国民年金でもらえる金額は満額で月額6万4816円(令和2年度)。保険料を納めた期間が20歳から60歳までの全期間(40年)・平均標準報酬月額換算43.9万円)。

 厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」から、年金を受給する高齢者世帯の総所得のうち年金が占める割合の世帯数は、以下のとおりです。
 100%の世帯:24.9%
 80~100%未満の世帯:33.3%
 60~80%未満の世帯:15.9%
 40~60%未満の世帯:14.0%
 20~40%未満の世帯:8.4%
 20%未満の世帯:3.6%

 全体の25%、約4分の1の世帯しか老後生活を年金のみで生活することができていないのが現実です。

 コロナ前の厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」から、年金を受給する高齢者世帯の総所得のうち年金が占める割合の世帯数は、以下のとおりです。
 100%の世帯:48.4%
 80~100%未満の世帯:12.5%
 60~80%未満の世帯:14.5%
 40~60%未満の世帯:12.7%
 20~40%未満の世帯:8.1%
 20%未満の世帯:3.9%

 全体の48%、約半数が年金だけで生活することができています。
 わずか2年で、年金だけで生活する高齢者世帯は一気に半減したことになります。
 大きく変化しているのは「100%の世帯」と「80~100%未満の世帯」です。「100%の世帯」が23.5%減り、「80~100%未満の世帯」が20.8%増加しています。

 以前、「老後2000万円問題」が話題になりました。
 老後資金が2000万円足りないというのは、総務省統計局の「家計調査報告」から導き出された数字です。
 高齢夫婦無職世帯の家計収支の平成29年でのデータによると、収入は20万9198円、可処分所得は18万958円、消費支出は23万5477円です。
 毎月の不足分は5万4519円。この不足部分を30年間埋めるために必要なお金が約2000万円です。つまり、毎月の不足分5万4519円×12カ月×30年=1962万6840円です。

 この数字が、老後2000万円不足するという根拠になっています。ただし、この2000万円は「家計調査報告」の平均数字です。また持家の夫婦のデータなので、賃貸の夫婦には当てはまりません。

 コロナ禍の令和2年の「家計調査報告」のデータによると、収入は25万5660円で、可処分所得は22万5501円、消費支出は22万4390円です。毎月の不足分はなく、1111円の黒字です。

 ただ、この令和2年の数字には明らかに特殊事情があると考えるべきです。
 令和2年は新型コロナウイルス感染症による影響で、消費支出が減る一方で、特別定額給付金による収入が増えたことが黒字転換の要因と考えるべきでしょう。

 実際に令和3年は再び高齢者世帯の家計は赤字に転落して、1万8525円の不足が生じています。これを30年分を計算すると、666万9000円の老後資金が必要になります。2000万円の赤字より改善はしていますが、老後資金なしには生活できない実態が明らかになっています。
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