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2023年バックナンバー

雑記帳

オーバーツーリズム

 「オーバーツーリズム」(Overtourism)という言葉をご存じでしょうか。
 観光地のキャパシティー以上の観光客が押寄せる状態(過剰な混雑)のことを言います。

 海外の観光業界ではオーバーツーリズムが問題となっていて、対応策が不足しているため、観光客の絶対数が増えたにも関わらず、インフラにかかる負担などがまかないきれず、逆に、観光客の来訪が、経済的に損になってしまう都市があります。

 例えば、イタリアのベネネチアでは、ベネネチア市内でトイレ不足したり、下水道のシステムがパンク状態になるそうです。
 下水道のインフラを整備やトイレを増設のためにはお金がかかります。
 観光客1人当たりから得ている利益を考えると、その金額は決して安くはありません。
 観光地に人があふれると、まず、街の混雑、交通の渋滞、夜間の騒音、ゴミ問題、トイレ問題、環境破壊など、さまざまな問題が生じ、地元の人たちの日常生活に大きな悪影響を与えます。
 イタリアのベネチアなどは、どう考えても、観光客過剰です。
 ベネチアは島(厳密にいえば、対岸のメストレ地域も行政区画上はベネチア市です)ですから、観光客が押し寄せればアウトです。

 日本でも、オーバーツーリズムは問題化しています。
 大阪などは、鉄道や地下鉄などの交通インフラなどが発達していますし、ホテルの数もありますから、多少、観光客が増加しても、地元住民の日常生活に悪影響が及ぶということは考えにくいです。
 マナーの悪い観光客をみて不愉快になる程度、飲食店や店舗のレジで待たされる程度で済みます。

 京都は、街の混雑、交通の渋滞だけみても、完全にアウトです。
 京都は、地下鉄路線が少ないですね。
 地下鉄工事をしようとすると、遺跡がでてきて工事がストップしますから、仕方が無いのかも知れません。
 京都は、道が狭いですね。
 第二次世界大戦の際、空襲で焼け野原になっていませんから、昔ながらの道が狭いままです。
 京都のバスは、路線によっては、混雑が激しく、次のバスに乗れず、1、2台は待たないと乗れない場合があります。
 春や秋の桜や紅葉シーズンには、外国客の他、国内客の自動車も加わるため、これに渋滞が重なってバスが動かなくなります。
 日本人でも、冬や夏の京都は難行苦行ですから、避けたいと思いますから。
 住宅地では、民泊が増えて、夜中すぎても騒がしくなるという意見もあります。
 また、治安の悪さも問題になります。
 日本の他の観光地に比べ、京都への外国人観光客の評判は、必ずしもよくありません。
 理由は、人が多すぎて観光しづらいとのものが大半です。
 外国人観光客が「京都は人が多すぎて観光しづらい」というのも「そういう、あなたはどうなんだ」と突っ込みたくなりますが、事実ですから仕方がありません。

 観光施設の時間の延長や、いわゆる観光地ではない京都の魅力的な町を知ってもらう工夫がなされています。
 あと、現存の宿泊税を高額にするという方法もあるでしょうし、京都のバスを高額にして、京都在住の人だけ、廉価の交通カードをもたせるという方法もあるでしょう。
 関西には、京都や大阪の他、奈良、兵庫、和歌山などにも、観光資源が多くありますから、できるだけ、分散させる工夫をするべきでしょう。
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