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2023年バックナンバー

雑記帳

鳥インフルエンザで卵価格2倍に 供給正常化に最短半年か

 「物価の優等生」と言われてきた卵にかつてないほどの異変が起きています。
 JA全農たまごによりますと、卵Mサイズ1キロあたりの出荷価格(東京市場)は令和5年2月22日に335円と過去最高を記録しました。175円だった令和4年2月の2倍近くに高騰しています。

 ウクライナ情勢などにより、鶏のエサとなる配合飼料や光熱費が上昇し、卵の価格は上昇傾向でしたが、高病原性鳥インフルエンザの過去最大規模の感染拡大が追い打ちをかけた形です。

 鳥インフルエンザは鶏やアヒルなど家畜の鳥で初感染が報告され、令和4年10月末から被害が拡大しています。
 感染の発生件数は令和5年2月20日時点で76件に上り、鶏卵を産む採卵鶏1300万羽以上が殺処分されました。
 通常時に国内で飼育されている採卵鶏の1割に相当する規模で、従来最も多かった令和2年度の987万羽を大きく上回わりました。

 卵の流通経路は、小売業者向け、外食業者向け、加工業者向けの大きく三つに分けられ、それぞれの流通量は全体の5割、3割、2割という比率になっています。
 農林水産省は、消費者への供給不安につながらないよう、小売業者への提供を優先するよう求めました。

 供給が優先されている食品スーパーなどの小売店でも、卵の価格は高騰しています。
 農林水産省の調査によりますと、令和4年2月時点で卵1パック10個入りは平均214円でしたが、令和5年2月には262円にまで上がっています。
 ただ、卵以外の食品も値上がりしていることや、生活必需品という特性も大きく、食卓向け消費としては、これまでの価格上昇にもかかわらず、購入量の大きな減少にはつながっていないというのが現状です。

 問題は、卵の供給がいつ頃回復するかですが、少なくとも半年はかかるとの見方が主流となっています。
 養鶏場で感染が確認された場合、その養鶏場で飼育している鶏をすべて殺処分したあと、消毒作業など防疫措置を行いますが、営業再開できるまで順調にいっても2か月はかかるのが通常で、また、防疫措置が完了後、すぐさま通常の生産を再開できるわけではありません。
 採卵鶏は、雛の生産業者や育成業者を経て鶏舎に導入されますが、雛が生まれてから安定的に卵を生むようになるまで、通常半年ほどかかるうえ、雛業者らも採卵鶏の通常時の需要に合わせた雛鳥しか生産していませんから、迅速な対応は難しいといえます。


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