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2023年バックナンバー

雑記帳

台湾新幹線、日本製車両を購入1240億円で

 台湾高速鉄道(台湾新幹線)の運営会社は、令和5年3月15日、日立製作所や東芝の日本企業連合から新車両12編成(1編成12両)を計1240億9100万円で購入すると発表しました。
 JR東海のN700Sで、関西人にとって新幹線と言えば東海道・山陽新幹線でおなじみの車両です。
 現在、台北市(厳密には新北市)から高雄市までの、日本で言えば東京大阪間に相当する大動脈を走っています。

 台湾高速鉄道は、週末や連休などの利用状況や将来の需要、車両の整備と運用などを踏まえ、平成31年から新型車両の購入計画を進めていましたが、日本メーカーを対象に行われた2度の入札では、日本側から提出された書類が高鉄の要求を満たしていなかった、あるいは、提示価格が割高などの理由でいずれも中止になっていました。

 平成31年1月20日の新型車両8編成の入札は中止となった経緯は、メーカーの見積もり価格と市場価格の差が大きすぎるとのことでした。

 現在、川崎重工業、日立製作所、日本車両製造が製造した700T(JR東海とJR西本の700系)が走行されています。

 平成31年1月20日予定時のメーカー側の提示価格は1編成(1編成8両)当たり50億台湾ドル(当時のレートで約192億円。現在のレートで約220億円)でした。
 これに対して、台湾高速鉄道が平成24年から平成27年に追加導入した700Tの1編成当たりの価格は約16.5億台湾ドルでした。つまり、台湾高速鉄道が導入しようとしている新型車両の価格は700Tよりも3倍高いことになります。
 50億台湾ドルという価格は、日本の新幹線車両の価格と比べても著しく高い価格です。
 JR東海の最新型新幹線「N700S」40編成のN700Sの価格は補修部品等も含め約2400億円。1編成当たりの価格は60億円と推測されています。
 700Tを増備するという選択肢もあったのですが、700系は平成18年に生産終了となっていて、700Tを構成する主要部品の調達が不可能になりました。
 そのため、新型車両を導入することになったという経緯があります。

 今回は、新車両12編成(1編成12両)を計1240億円、1編成は8両から12両に増えていて、台湾ドルが平成31年のレートに比べ15%程度強くなっていることを考えても、1編成が100億円ですから、決して安くありません。

 ただ、フランスやドイツの新幹線は、ひたすら平原を走るという仕様の新幹線で、国土が狭くカーブが多い台湾には向きません。
 N700Sは、AIを用いた先読み型の先進振り子技術は、国土が狭くカーブが多い日本で優れた乗り心地と高速運行を可能にしていていますから、日本の新幹線を採用するのが、お得となります。
 また、運用システムのノウハウの継続的指導が込みとなれば、多少高くても仕方がありません。

 なお、台湾は、1人あたりのGDPで韓国を抜き、日本に迫っているほど経済は好調です。
 経済力があれば「安物買いの銭失い」ではなく、「高価だが安心安全」な車両を購入するのは当然かと思います。
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