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2023年バックナンバー

雑記帳

オランダが半導体製造装置の輸出規制方針

 アメリカ、オランダ、日本の3か国の政府が、先端半導体技術の対中輸出規制の強化で足並みを揃えることに合意しました。

 オランダの半導体製造装置大手のASMLは、令和5年1月29日付の書面で「先進的なプロセス技術を用いた半導体チップの製造技術(の対中輸出規制)に関して、数か国の政府が合意に至ったことを承知している」と明言した。

 ASMLは、シリコンウェハー上に微細な電子回路を焼き付ける露光システムの世界最大手です。
 ASMLの書面によれば、3カ国の合意の対象には露光システムだけでなく、その他の半導体製造装置の一部も含まれています。
 なお、ASMLは合意発効の時期について、「規制の具体的な内容を詰めたうえで法制化する必要があり、一定の時間がかかる」との見方を示していますた。

 アメリカ政府は数年前から、中国企業による先端半導体の製造技術習得を繰り返し阻もうとしてきました。
 平成29年には、ASML製のEUV(極端紫外線)露光システムの対中輸出を禁止するようオランダ政府に要請しました。同システムは回線幅7nm(ナノメートル)以下の先端プロセス技術に欠かせない装置であり、現時点ではASMLが世界唯一のサプライヤーです。

 EUV露光システムの入手が事実上不可能になったとき、中国の半導体メーカーは1世代前のDUV(深紫外線)露光システムを用いたプロセス技術の改良により、14nmまたはそれ以下の微細加工の実現を目指してきました。
 ただ、それに対応できる装置のサプライヤーは、ASMLと日本のニコンの2社だけです。

 アメリカ政府は令和4年10月に先端半導体技術の対中輸出規制を大幅に強化し、自国の製造装置メーカーに厳しい制約を課しました。
 そのうえでアメリカ政府は、オランダ政府と日本政府が同様の対中輸出規制を法制化するよう、両国への働きかけを強めています。

 世界の半導体業界では製造工程の細分化・専門化が進んでおり、なかでも製造前工程では各段階の製造装置が米欧日の大手メーカーの独占状態になっています。
 露光システムのASML以外にも、エッチング装置ではアメリカのラムリサーチ、アプライド・マテリアルズ、日本の東京エレクトロンの3社が世界市場の9割を握っています。


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