本文へ移動

2023年バックナンバー

雑記帳

「日立製車両」が欧州鉄道界進出に成功した背景

 1872年、新橋と横浜を結ぶ鉄道が日本で初めて開通してから、鉄道網は日本全国に広がりました。
 その中で、日本の鉄道会社は、速度、信頼性、安全性、快適性を向上させるために様々な技術を開発してきました。

 鉄道発祥の地・イギリスでは、日立製作所が開発した高速鉄道車両が、同国に広がる鉄道輸送の一端を担っています。

 日立がイギリスへの鉄道輸出に取り組み始めたのは平成11年のことです。
 平成17年、イギリス初の高速鉄道線で、ロンドン・アッシュフォード間を結ぶ高速鉄道線「Channel Tunnel Rail Link」(現在のHigh Speed 1)を走る車両「Class395」174両の製造・保守サービス事業の受注に成功しましたた。「Class395」は平成21年に納入されました。
 平成24年に開催されたロンドンオリンピックでは、ロンドン中心部からメイン会場までのシャトル便として使用されました。
 早朝から深夜まで約7分間隔で運行したが、運休や遅延を一度も発生させることはありませんでした。

 Class395の品質、プロジェクト遂行能力が高く評価された日立は、さらに、イギリス企業との合弁で設立した「アジリティ・トレインズ社」を通じて、イギリス政府が進める都市間高速鉄道計画(IEP)向けの高速車両「Class800」の製造・保守サービス事業の発注にも成功します。
 IEPはイギリスの鉄道史上最大規模の予算で実施されるプロジェクトで、イギリスの主要幹線であるロンドンとスコットランドを結ぶ「イースト・コースト本線」と、ロンドンと西部イングランド、西ウェールズを結ぶ「グレート・ウェスタン本線」などの路線の高速鉄道計画です。
 日立は、866両の車両を納入し、約30年間の車両保守サービスを手がけています。
 平成27年に運行開始しています。

 「Class800」など、イギリスを走る高速鉄道車両の製造のために、日立はダーラム州ニュートン・エイクリフに鉄道車両工場を建設しました。


 日立は平成28年にイタリアで車両や信号などを製造する企業2社を買収し、さらに鉄道運営企業との間で、新型の2階建て通勤車両を供給することで合意しています。

 日立はヨーロッパで、ヨーロッパの企業になりつつあります。
 また、世界的にも、現在、インドのデリーメトロ、台湾の新幹線、ニューヨークの地下鉄など、世界各地に広がっています。

 「Class800」は、イギリスで異常なほどに増殖し、現地工場もフル稼働だそうです。

 日立製作所のグループ会社である日立レールは、令和5年後半を目標にフランスのタレス社からグラウンド・トランスポーテーション・システムズ部門(GTS)の買収へ向け、欧州委員会の競争当局とEU内での買収の承認を得るための手続きを進めています。
 現在のアルストムやシーメンスがそうであったように、日立もグループ会社を含め現地の関連企業を買収し、着実に国際的鉄道メーカーとしてステップアップしているといえます。


TOPへ戻る