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2023年バックナンバー

雑記帳

都道府県名の記載の必要性

 依頼者が大阪市在住の場合、委任状などに住所を書いてもらおうとすると「どこから書きましょうか」と聞かれることがあります。
 具体的には、「大阪府大阪市」から書きはじめるか、「大阪市」から書きはじめるか、どちらがいいでしょうという質問です。

 一般的には、都道府県庁所在地の都道府県名と同じ「市」と、政令指定都市は、都道府県名を省略して書いてよいとされています。商業登記先例の中にも趣旨が同じものがあります。登記について
「政令指定都市,都道府県名と同名の市を除いては,都道府県名を記載するのが相当である」(昭和32年12月24日。法務省民事局通達2419号)参照)とされています。

 「大阪府大阪市」くらいなら書くのも簡単ですが、「鹿児島県鹿児島市」や「和歌山県和歌山市」などとなると、手数も「ばか」になりません。

 なお、同一の「市名」は、原則としてつけないようにしているらしいのですが(埼玉県に狭山市があるので「大阪狭山市」、和歌山県に田辺市があるので「京田辺市」など)、例外もあります。
 東京都にも広島県にも「府中市」があるのは有名ですし(タッチの差で同一市名になった)、他にも、北海道にも福島県にも「伊達市」があるようです(北海道の伊達市が、福島県に同一名称をつけることを認めた)。

 逆にいうと「府中市」「伊達市」以外は、「市名」から書き始めても、特定という観点からすると十分ということになります。

 ちなみに「町村」レベルになると、「都道府県名」+「郡名」が前につきます。
 平成の大合併で減ったものの、池田町など複数の町名はざらにありました。
 これらの場合「都道府県名」「郡名」、最低「郡名」は必須でしょう。

 もっとも、大阪地方裁判所に提出する委任状に、「大阪府枚方市」や「大阪府豊中市」と書いてもらうのは、少し「ばからしい」気がしますので、「枚方市からで結構ですよ」などと言いますが、東京地方裁判所に提出するなら、「大阪府枚方市」と書いて下さいと言うようにしています。

 関西圏以外の人は、ちなみに「尼崎市」は、どの都道府県かおわかりですか。
 正解は、もちろん兵庫県ですが、近畿地方以外の方は、大阪府と勘違いしている方が結構おられるようです。市外局番は、大阪市などと同じ「06」ですし。
 関東の弁護士さんから、「神戸地方裁判所尼崎支部 御中」ではなく「大阪地方裁判所尼崎支部 御中」という訴状が、尼崎支部に届いたという笑い話ともいえる実話があります。
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