本文へ移動

2023年バックナンバー

雑記帳

駐フランス中国大使「主権国家である合意ない」発言 バルト三国反発

 フランスに駐在する中国の大使が、かつて旧ソビエトから独立した、ウクライナやバルト三国などの国々について「主権国家であることを定めた国際的な合意はない」と発言し、バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)が強く反発しています。

 フランスに駐在する中国の盧沙野大使は、令和5年4月21日、放送されたフラスのテレビのインタビューの中で、ウクライナ情勢についての質問に答えました。
 この中で、盧大使は、ロシアが一方的に併合したウクライナのクリミアの帰属について見解を問われると、明確に答えることを避け、さらに「旧ソビエト諸国が主権国家であることを具体的に定めた国際的な合意はない」などと述べました。

 この発言をめぐって、ウクライナなどとともに旧ソビエトから独立したバルト三国が強く反発しています。

 リトアニアの外務省はツイッターで、自国に駐在する中国の代理公使を呼び、説明を求めることを明らかにしました。リトアニアの外相も「なぜわれわれが中国によるウクライナ和平の仲介を信用しないのか、疑問に思う人がいるならば、この中国大使の発言を聞いてほしい」などと投稿して不快感をあらわにしました。
 また、ラトビアの外相も「まったく容認できない。中国側の説明と発言の撤回を求める」とツイッターに投稿し、令和5年4月24日にルクセンブルクで行われたEU外相会議でこの発言を取上げ、中国側の姿勢を厳しく糾弾しました。

 なお、中国外務省の毛寧報道官は令和5年4月24日の記者会見で「ソビエトが解体されたあと、中国は最も早く関係する国々と外交関係を樹立した国の1つであり、加盟していたそれぞれの共和国の主権と国家の地位を尊重している」と述べ、大使の発言を否定したうえ、「私が言っていることが中国政府の正式な立場だ」と繰返し述べ、火消しに追われました。

 毛寧報道官のバルト三国について「ソビエトが解体されたあと、中国は最も早く関係する国々と外交関係を樹立した国であり」との記者会見も、厳密にいえば誤りかと思います。

 バルト三国が、ソ連から独立したのは平成2年(1990年)のことです(正式独立は8月20日)。
 そして、ソ連が解体されたのは、翌平成3年(1991年)12月18日のことで、アルメニア、アゼルバイジャン 、ベラルーシ、ジョージア、カザフスタン、キルギス、モルドバ、ロシア、タジキスタン、トルクメニスタン、ウクライナ、ウズベキスタンに分かれました。

 フランスに駐在する中国の盧大使の発言の真意はわかりません。
 ただ、ヨーロッパ諸国にも、中国は、そもそも理解不能の国だという印象を強く与えました。
 盧対しのナイス・ジョブです。
TOPへ戻る