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2023年バックナンバー

雑記帳

経常黒字収支が黒字でも外貨が入ってこない日本

 一時、1ドル=152円近辺まで下がった円ですが、130円くらいまで持直し、徐々に円が下がっています。

 令和5年4月10日、財務省より発表された令和5年2月の国際収支統計は、経常収支に関し、2兆1972億円と2か月ぶりの黒字に復帰しました。
 貿易赤字が膨らみやすい季節を乗り越えて、今後は経常収支の符号自体は黒字が続くと思われます。

 内訳を見ると、貿易サービス収支はマイナス8245億円を記録する一方、海外での投資の利子や海外子会社から受け取る配当金といった第一次所得収支は3兆4407億円を記録しています。
 令和4年通年の経常黒字は11兆円以上を記録しましたが、令和4年の円安をみると、経常黒字が円高につながっていないことが分かります。

 過去の月日を経て日本の国際収支は明確な変化に直面しています。
 端的に言えば「これまでよりも外貨が入ってこない国」になっている可能性が高いでしょう。
 そうだとすれば、「これまでよりも通貨が弱くなりやすい」、言い換えれば「これまでよりも円高になりにくい」ことに納得がいきます。

 近年の日本の国際収支は、貿易赤字が大きいものの、その他サービス収支の赤字はそれなりに大きいものの、第一次所得収支黒字がはるかに大きいことから、今後は経常収支の符号自体は黒字が続くと思われます。

 第一次所得収支の黒字は巨額ですが、円の価値を支える効果は期待できません。
第一次所得収支の黒字の大半は、日本に環流してくるのではなく、多くは外貨のまま再投資される可能性が高い、つまり、巨大な黒字額の見かけほど円買い・ドル売りは発生していない可能性が高いと考えられます。

 なぜ、日本企業が国内に投資するのではなく、海外に投資するようになったのかについては、少子高齢化による人口減、無駄な消費をしない国民性などによる国内市場の縮小、硬直的な雇用法制などにより、日本に投資するより、外国に投資する方がメリットがあるからでしょう。

 「経常黒字収支が黒字」=「外貨が日本に流入する」とは限りませんから、円は、さらに安くなる可能性があります。

 ただ、円安は悪いでしょうか。
 私は、必ずしもそう思いません。
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