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2023年バックナンバー

雑記帳

米韓が合意した「核協議グループ」、韓国がアメリカの核運用に関与できるという幻想

 バイデン米大統領と韓国の尹錫悦大統領による首脳会談が、令和5年4月26日(現地時間)に行われました。尹大統領は国賓です。

 中国牽制のための最先端半導体の供給網再編などで、アメリカは韓国への圧力を緩めませんでした。
 韓国が最も望んだ核抑止力へのアメリカの影響力拡大という悲願は、ほぼ現状維持という結果になりました。

 経済面では、韓国は「インフレ抑制法」(Inflation Reduction Act)と、半導体関連法「CHIPS」(CHIPS and Science Act)の例外扱いが通るかどうかが焦点でした。
 「インフレ抑制法」は、要件を満たした車種のみに、電気自動車(EV)への補助金支給対象を支給するというものでしたが、「要件を満たした車種」は、すべてアメリカメーカー製でした。
 日本の日産のリーフも、ドイツのすべてのメーカーの電気自動車も、補助金を受けられなくなりました。韓国だけではありません。
 自動車は韓国の対米輸出の主力の一つで、打撃は大きいと考えられます。

 半導体関連法は、中国との最先端半導体競争に勝利するためアメリカ産業の育成などを目指す法案です。
 韓国のサムスン電子など半導体メーカーがアメリカからの補助金を受ける場合、中国への投資が制限されたり、企業秘密を米政府に知られたりする可能性が指摘されています。

 尹大統領は、安全保障面では、韓国内で燃えさかる「独自核武装論」の鎮火に必死になった。北朝鮮による相次ぐミサイル発射や核開発のため、韓国内では6、7割が核武装に賛成している。尹政権のブレーンによれば、米韓同盟を強化すべきだと考える国家安保室は核武装や核の共有という考え方は取っていない。


ただ、尹大統領は、国民の支持率も考慮し、世論を簡単には無視できないという考えていました。そして、アメリカの「核の傘」を含む拡大抑止力を強化する案について協議を重ねていた。

 ワシントン宣言は、拡大抑止を巡る新たな協議体「核協議グループ(NCG)」の創設が盛り込まれました。
 韓国は北朝鮮から核攻撃されたとき、アメリカの核報復攻撃に影響力を発揮できるようになったのでしょうか。
 尹大統領は記者会見で「アメリカと韓国は、核および戦略兵器の運用計画に関する情報を共有し、韓国の高度な通常戦力とアメリカの核戦力を組み合わせた共同作戦を共同で計画および実施する方法について定期的に話し合い、その結果を両首脳に報告する」と述べました。
 しかし、何も変わりませんでした。

 アメリカは過去、日本と韓国に対し「日本や韓国が核攻撃を受ければ、アメリカは必ず核の報復攻撃をする」と確約してきました。
 北朝鮮が平成18年に初めての核実験を行ったことを受け、日本は平成22年から、韓国は平成23年から、それぞれアメリカと定期的に拡大抑止協議を行ってきました。
 あくまでも「意思の確認」であり、作戦計画の共有ではありませんでした。

 日本の一部や韓国の一部には、北大西洋条約機構(NATO)の核共有(核シェアリング)を希望する声もあります。
 NATOの一部加盟国に配備された米軍のB61核爆弾を使う場合、NATOの核企画部会での合意と、核保有国である米英両首脳の同意が必要になります。
 仮に、ヨーロッパのNATO加盟国がB61核爆弾の使用を求めても、アメリカは拒否できますし、逆にヨーロッパ欧州側が共有したB61核爆弾の使用を拒んでも、アメリカはNATOに配備していない核兵器を使えます。

 ただ、日本も「対岸の火事」ではありません。
 日本は、多数の北朝鮮や中国の核ミサイルの射程に入っているからです。
 日本の世論の態勢は、核シェアリングを望んでいません。
 まして、核兵器の開発を望んでいません。
 もっとも、日本だけは、平和利用に徹して核不拡散に繋がる技術を採用・実証しているため、非核保有国でウラン濃縮と使用済核燃料の再処理が国際的に認められています。
 また、大気圏突入が可能で、目的箇所に着地させられるロケット技術を有していますから、日本がその気になれば、核武装したうえ、ICBMの発射ができる状態にあります。
 しないでしょうが・・

 韓国は、自国で核武装をする気満々です。
 韓国原子力研究所の科学者は2000年初め、密かに原子蒸気レーザー同位元素分離(AVALIS)方式でウラン濃縮実験を3度行ったとしてIAEAから大目玉をくらっています。
 もしかしたら、秘密裡に、濃縮実験をしているかもしれません。
 北朝鮮と同じで、○○に刃物ということになりかねません。 
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