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2023年バックナンバー

雑記帳

political correctness

 「ポリティカル・コレクトネス」という言葉をご存じでしょうか。

 ポリティカル・コレクトネス(political correctness)とは、政治的・社会的に公正・公平・中立的で、なおかつ差別・偏見が含まれていない「言葉」や「用語」のことで、職業・性別・文化・人種・民族・宗教・ハンディキャップ・年齢・婚姻状況などに基づく差別・偏見を防ぐ目的の表現を指すとされています。

 1980年代に、アメリカで始まった「用語における差別・偏見を取り除くために、政治的な観点から見て正しい用語を使う」という意味で使われる言葉や運動です。

 この立場では「職業」「性別」「文化」「人種」「民族」「宗教」「障害」「年齢」「婚姻状況」などによる社会的な差別・偏見が含まれていない、公正・公平な表現・用語を使うよう推奨していて、適切な表現が存在しない場合は、新語が造られることもあります。

 英語の敬称で、男性「Mr.」が未婚・既婚を問わないのに対し、女性の場合は「Miss」(未婚)、「Mrs.」(既婚)と区別されていますから、それを女性差別だとする観点から、未婚・既婚を問わない「Ms.」という表現に置き換えられるようになりました。

 黒人を指す「Blackブラック」が、アフリカ系アメリカ人を意味する「African American」に置き換えられました。
 本来はインド人を意味する「Indian」がアメリカ州の先住民族を指すことが多かったため、「Native American」という表現に置き換えられました。

 職業名に(伝統的に男性)「~man」がつくものは女性差別的であり、ポリティカル・コレクトネスに反するとして、「~person」などに変更されているものがあります。

 議長「chairman」が「chairperson」
 警察官「policeman」が「police officer」
 消防官「fireman」が「fire fighter」
 実業家「businessman」が「businessperson」
 キーマン「key man」が「key person」

 アメリカなどで多様な宗教に配慮をしようという動きも含まれます。

 例えばクリスマスはキリスト教の行事であるため、公的な場所・機関、大手企業では他の宗教のことも考慮して「メリー・クリスマス」と言わずに、「ハッピー・ホリデーズ」と言い換えたほうがよいとされています。

 ブッシュ・アメリカ合衆国元大統領も「メリー・クリスマス」ではなく、「ハッピー・ホリデーズ」と述べています。

 ちなみに、お騒がせのトランプ大統領ですが、「私が大統領になれば『メリー・クリスマス』といえるようになる」と拍手喝采をあびたのは、キリスト教徒が、ポリティカル・コレクトネスのために、「ハッピー・ホリデーズ」と言わなくてすむということですね。

 日本でも同じです。
 「看護婦」が「看護士」「看護師」
 「障害者」が「障碍者」「障がい者」
 「助産婦」が「助産師」
 「保健婦」が「保健師」
 「保母」が「保育士」
 「スチュワーデス」「スチュワード」が「客室乗務員」「フライトアテンダント」「 キャビンアテンダント」
 「肌色」が「ペールオレンジ」
 「痴呆症」が「認知症」
 「精神分裂病」が「統合失調症」
 「らい病」が「ハンセン氏病」

 昔放送されたテレビ番組が、深夜に放送されていることがあります。
 そのまま放送されている番組もあれば、該当箇所の音を消している番組もありますね。
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