本文へ移動

2023年バックナンバー

雑記帳

入管法改正案が成立見込み

 紛争地から逃れた人を「準難民」として受け入れる制度をつくる出入国管理法改正案が令和5年5月9日の衆院本会議で、与党と日本維新の会、国民民主党の賛成多数で可決しました。
 今国会で成立する見込みです。

 改正案は2つの柱からなっています。

 1つは行政の裁量に委ねてきた避難民の受け入れ方法を改める点です。

 紛争地からの避難民を難民に準ずる「補完的保護対象者」として扱う枠組みを設けます。
 日本は難民認定に厳しいルールを設けてきました。

 現在の入管法は国連難民条約の規定に合う人だけを難民と認めています。
「人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員、政治的意見」を理由に迫害を受ける恐れがある人だけが対象になっています。

 ロシアによるウクライナ侵攻から逃れて来た人をはじめ、紛争地からの避難民は難民に該当しないケースがほとんどですが、ウクライナからの避難民は敬和5年4月時点で2400人人あまりです。
 政府が特別に滞在を認めたり生活費を支援したりしています。
 令和3年2年2月に国軍によるクーデターが起きたミャンマーの場合は、緊急避難措置により滞在を認めました。
 この措置による滞在者は令和4末の時点で9500人を超えています。

 いずれの場合も「法相の裁量」で在留資格を与えているに過ぎず、法的には不安定な位置づけですだ。
 法改正が実現すれば紛争を逃れて日本に来た人は補完的保護の対象になり得ます。
 補完的保護対象者には難民と同様に定住者の在留資格を与えたり、国民年金を支給したりします。就労の制限もなく、永住許可の要件も緩和します。

 世界には、欧州連合(EU)加盟国など世界のおよそ50か国が補完的保護の制度を設けています。
 日本と日本が承認している国の合計は196か国ですから、4分の1が、補完的保護の制度を設けていることになります。

 ちなみに、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると欧州に退避したウクライナ人は、令和5年3月時点で810万人以上に達します。

 22つ目の柱は不法滞在者の扱いの厳格化です。

 現行の制度は在留資格を失った人が難民認定を申し出ると本国への送還手続きが止まることから、日本での滞在延長をねらって申請を繰り返すケースが後を絶ちませんでした。

 改正案は送還手続きを止められる申請を原則2回までと定めました。
 入管当局は「相当の理由のある資料」が提出されない限り3回目の申請を認めず、強制送還の手続きに入ることになります。
 改正案には収容施設の医療体制を強化する策などが追加されています。
TOPへ戻る