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2023年バックナンバー

雑記帳

人口減・財政難に喘ぐ京都、市が踏み切った「新景観政策見直し」

 京都市は人口減と財政難という二つの大きな課題を抱え込んでいます。
 年間1万1913人の人口減(令和3年)で、2年連続で全国最多となりました。
 財政は市債残高が1兆5000億円超もあります。

 観光客が戻りつつあることぐらいでは喜んでもいられません。

 そうした状況下で京都市は、平成19年に歴史的な街並みを保存するために策定した「新景観政策」の見直しに踏切りました。
 令和5年4月25日から施行された新たな都市計画では、JR京都駅南側や市東部の山科地区など複数のエリアで建物の高さや容積率を緩和しました。
 昔ながらの京町家が残る駅北側のエリアは変更しません。

 見直しの対象となった京都駅南側エリアでは、大通り沿いの高さ制限を現在の20m~25mから31mに引上げました。
 京都市東部の山科駅付近は、大通りに面して一定の要件を満たす土地は高さ制限を撤廃しました。
 建物の1階部分に店舗を設けるなどの条件を満たせばタワーマンションも建設可能となりました。

 高さ規制や容積率の緩和によりマンションなどを増やすことで、子育て世代の人口流出を防ぐこと、オフィスや各種施設などの集積化を実現させることなどを通じ、人口増と税収増を図ろうというのが京都市の狙いです。

 京都市民の反応も割れています。
 京都市の意見募集には869通、2445件の意見が寄せられました。
 京都市によりますとおおむね7割が賛同となっています。

 京都市の考えは「今回の見直しに当たっては、将来にわたって持続可能な都市の構築を実現するため、これまで時代と共に進化を続けてきた景観政策とも連動しながら、多様な地域のポテンシャルを最大限引き出せるよう、各エリアの土地利用の状況を精緻に分析し、『「景観の保全・形成』『住環境の保全・整備』『都市機能の充実・誘導』の3つの観点のバランスを考慮しながら検討してきたところです」ということです。

 一方、反対派はどうでしょう。
 「50年後、100年後を見据えて定められた規制をたった15年で見直すのは納得できない」「高さ制限を緩和することで地価が上昇し、ますます住みにくくなる」「高層ビルが乱立するような風情のない京都にしてほしくない」という意見です。

 問題は、規制緩和を盛り込んだ新たな都市計画で、人口減少に歯止めをかけることができるかどうかです。

 これまで京都市内では、ホテルの建設ラッシュや外国人による町家などの不動産取得に伴う地価上昇で住宅コストが上昇し、子育て世代が、滋賀県の大津や草津、あるいは京都市郊外の周辺市などへ転出するケースが増え、人口減の大きな理由とされてきました。
 高さ規制、容積率緩和で、子育て世代が住むことができる住宅を供給できるようになるとは思えません。

 地元の不動産関係者は「京都市中心部エリアのマンション事情ですが、新築だと3LDKで8000万円から1億円はしますね。JRで京都駅まで5分の山科地区の物件を見ると、3LDKで5000万円台半ばといったところ。すでにかなり高騰してきています」それに対し「滋賀県の大津市内となると、3LDKで4000万円を切ってきます」「700戸超の大規模マンションとして話題になっている琵琶湖に近い物件は最寄り駅である膳所市も、京都駅まで3駅13分です」「こうした現状から、京都市内から大津市周辺に移り住む子育て世代が増えているのです」と述べています。

 子育て世帯なら、京都市に住まないでしょうね。
 現在、夕張市に続く財政再建団体の候補のトップに、京都市が上がっているほとですから。


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