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2023年バックナンバー

雑記帳

耐震性に問題のない老朽化マンション建替え所有者5分の4合意で可能

 耐震性があっても管理が適切に行われず老朽化したマンションの建て替えを促進するため、建物と敷地を一括して売却する場合に必要だった所有者全員の合意が「5分の4」に引き下げられました。

 これまで、耐震性が不足しているマンションについては、建替えに向けた建物や敷地の売却が所有者の5分の4の合意で可能でしたが、耐震性があるマンションの場合は所有者全員の合意が必要で、老朽化が進んでいても合意形成が進まないことが課題となっていました。

 つまり、外壁がはがれ落ちるなど老朽化したマンションでも、耐震性に問題がなければ、建替えに向けた建物や敷地の売却について、所有者の全員の合意が必要だったのが、所有者の5分の4の合意で可能となったわけです。

 ただ、所有者の5分の4の合意は難しいでしょうね。

 マンションの老朽化とともに、区分所有者も高齢化しています。
 本来はマンションという共同体は区分所有者が徐々に入れ替わり、新陳代謝が行われていくことを前提としてきたともいわれています。

 昔々の話ですが、マンションは戸建て住宅を購入するまでの一時的な家として認識されていたこともあり、どちらかと言えば若い人たちの一次取得としての住宅という意味合いがありました。

 最初にマンションを購入した人はやがてそのマンションを売却し、戸建て住宅を購入し移転をし、そのあとには若いファミリーが購入して入居し、戸建て住宅が買えるようになるまでそこのマンションで暮らすといった、「住宅すごろく」が成立していた時代もありました。

 しかし、次第にマンションという生活スタイルは、都心部のみならず郊外部あるいは地方でもすっかり定着し、マンションに永住しようとする人が多数を占めるようになってきました。

 老朽化マンションの中にはその区分所有者のほとんどが高齢者によって構成されるマンションが増加してきました。

 死ぬまでここで暮らそうという「終の棲家(ついのすみか)」に選ばれ始めたことになります。

 現在の区分所有者である高齢者は「死ぬまで住めればよい」という考えを持つようになります。

具体的には、とにかく金のかかることはしたくない、自分が生きている間にどうしても必要な事はやらざるを得ないが、特別なことはしなくてもよいという考えになりがちです。
 といいますか、そう考える人が多くなったというより、あと何年生きるかも知れないのに、老後資金を考えれば、手元にある金は「無駄なことに」使うことはできないという切実な人が増えます。

 通常マンションの維持管理については、組合総会で決議されますが、組合総会の決議は、区分所有者それぞれが一住戸一票、あるいは、マンションによっては区分所有面積比による票を所持していることになり、小規模な修繕などは過半数で可決されます。

 大規模修繕のうち共用部の大幅な変更を伴うような内容のものは議決権の4分の3以上の賛成が、建替えでは5分の4以上の賛成が必要になります。

 マンションを「終の棲家」と考えるお金のない高齢者が、議決権の4分の1以上いれば、共用部の大幅な変更を伴うような内容の大規模修繕は不可能、マンションを「終の棲家」と考えるお金のない高齢者が、議決権の5の1以上いれば、建替えは不可能となります。

 私は、土地を買って家を建てて住んでいます。

 マンションは将来価値がなくなる可能性がありますが、駅から徒歩圏内の一戸建てなら、古家付き建物として、売却が可能です。

 これから高齢化することがあっても、逆はありません。
 マンションの老朽化は進むでしょう。 
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