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2023年バックナンバー

雑記帳

ドイツの不正乗車と検札

 ヨーロッパの鉄道は、原則として改札口がなく、極端な話をして切符がなくてもホームにいけますし(入場券はありません)、車内に入って乗車することもできます。
 どのようにして、不正乗車を防ぐのかというと、検札をします。

 私がドイツに留学していた1982年から1984年も、現在も変わりません。
 長距離列車は、間違いなく検札に来ます。
 車掌が「どなたかご乗車のかたは?」と聞いて、切符を見せることになります。
 ある意味、ドイツは「監視社会」「密告社会」で、乗車して車掌が来たとき、私がすぐに切符を出さないでいると、他の乗客が「この日本人が○○駅で乗車した」と車掌に言います。
 日本人なら、そんなことはいいませんよね。他人事ですから。

 近郊電車、地下鉄、路面電車などは、丁寧に検札には来ません。
 抜き打ちの「検札」をします。
 有効な切符を持っていなければ、有無を言わせず80ユーロ支払わせます。
 もちろん、車掌の服を着て検札にはきません。
 そこらの一般乗客、一般学生のような服を着て、複数で「挟み撃ち」にして、身分証明書を見せて、「乗車券拝見」とやります。
 車掌の服を着ていれば、不正乗車の乗客は、次の駅で降りて逃げてしまいます。
 ですから、一般乗客を装い、複数で「挟み撃ち」にするわけです。

 ボンに住んでいたときは、抜き打ちの検札がありました。
 当時の40マルク今でいえば20ユーロですから、現在の80ユーロと考えると物価は上がっています。
 同じ人が検札をするものですから、顔を見ただけでわかります。
 おなじみの顔を見かけると、乗車券をちゃんと持っているかどうかポケットをチェックした記憶があります。
 乗車券を持っていなければ、検札をする人が乗車してきたら、降車することも可能でした。

 令和元年にドイツ旅行をしたときは、検札がひどくなっていました。
 通常は、住んでいる人が不正をしないように、抜き打ちによる検札をするのが「建前」です。
 明らかな旅行者に対し「問答無用」というのはひどいですね。
 ミュンヘン中央駅からミュンヘン空港へ行くときに、抜き打ち検札をされました。
 普通の1日券(3ゾーン)ではミュンヘン空港に行けず、遠距離用の1日券(4ゾーン)購入が必要です。
 もちろん、私は、ちゃんとした空港行きの乗車券をもっています。
 検札する人は、普通の1日券の3ゾーンを越えた時点で、検札を開始しました。
 旅行者を狙い撃ちにして、不備があれば80ユーロをとろうという意図が見え見えです。

 住んでいる人の不正をとがめるのではなく、事情を知らない旅行者をねらった検札というのもどうかなとは思うのですが、いかかでしょうか。
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