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2023年バックナンバー

雑記帳

マース川

 平成28年11月29日、ベルギーとオランダが無人の領土の交換に合意しました。
 ベルギーの面積が16ヘクタール縮小し、オランダの面積が3ヘクタール拡大しました。
 領土の交換は、ベルギーとオランダの間のマース川の改良工事による河川変更に伴うものです。

 古い国境は当時のマース川に沿って設定されました。しかし、昭和36年に航行環境改善のため河川をまっすぐに変更したことから、双方の領地が対岸に飛び地として残り、船でしか渡れない状態となりました。
 両方とも人が住んでいませんから、住人の国籍が変わるということはありません。

 ベルギーは、1830年にオランダから独立しました。
 オランダはプロテスタントの国ですが、独立したベルギーはカトリックの国です。
 ベルギーは、カトリックという宗教が同じと言うことで独立しましたから、北部のフランデレン地域にオランダ語(フラマン語、フラマン方言)を話すフランデレン人、南部のワロン地域にフランス語(ワロン語、ワロン方言)を話すワロン人が在住しています。
 オランダ語地区の住民は、概ね、勤勉で稼ぎが多く、フランス語圏の住民は、概ね、勤勉ではなく稼ぎが少なく、オランダ語地区からの多額の税金がフランス語地区にわたっています。
 言葉が全く違いますし(オランダ語はドイツの一方言といっていいほどで、フランス語とは全く違います)、経済的にも違いますから、オランダ語地域のベルギーからの独立運動が盛んで「言語戦争」ともいわれています。

 結局、マース川というのは、北海へ注ぐ川で、東フランク王国(ドイツ語圏)と西フランク王国(フランス語圏)の境界となっている川です。

 なお、ドイツ国家の1番にもありますが、現在は歌われません。

Deutschland, Deutschland über alles,
Über alles in der Welt,
Wenn es stets zu Schutz und Trutze
Brüderlich zusammenhält.
Von der Maas bis an die Memel,
Von der Etsch bis an den Belt,
Deutschland, Deutschland über alles,
Über alles in der Welt!
Von der Maas bis an die Memel,
(マース川からメーメル川まで)
Von der Etsch bis an den Belt,
(エチュ川からベルト海峡まで)
という部分までが、かつてドイツに属していたという歌詞ですね。

 ドイツの第一時統一(第二次統一が東西ドイツの統一です)のときにはすべて領土として含まれていました。
 マース川は、現在はオランダとベルギー、メーメル川はバルト3国あたり、エチュ川(アディゲ川)は現在はイタリア領です。
 ベルト海峡だけが、今も、ドイツ領として残るのみです。
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