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2023年バックナンバー

雑記帳

リーガルテック、広がる可能性 将来は裁判書類下書きも

 政府は、令和5年8月1日、デジタル技術を活用した司法関連サービス「リーガルテック」に関する指針を公表しました。

 一部の例外を除き、現在提供されているAIを活用した契約書の作成・審査サービスを「問題ない」とするものといえます。
 今後は最先端のサービス開発競争が国内でも本格化しそうです。

 司法分野へのデジタル技術適用を巡っては、以前から判例のネット検索くらいでした。

 司法分野へのデジタル技術適用を巡っては、以前から判例のネット検索や弁護士検索などがあったが、最近はAIの導入に事業者が算入しようと虎視眈々と狙ってます。
 代表例が、AIによる契約書審査支援です。
 契約書を読み込ませると「期限の喪失約款が記載されていません」とか「裁判所の合意管轄の文言が抜けています」などと指摘し、修正案を提案したり、契約を更新すべき期限を知らせたりします。
 主に企業の法務部門で活用が広がっています。

 業界関係者は、現行のサービスでは限定的な機能が中心であるが、「契約書や裁判の準備書面の下書き作成、判例の収集・分析など、AIを活用する範囲が広がってくることが見込まれる」と将来をみすえているそうです。

 司法分野はAIの活用に親和性が高いとされてきました。
 AIの性能向上には膨大なデータが欠かせませんが、判例や学説を中心に司法分野には膨大な「文字データ」の蓄積があるからです。
 現状は「紙」が中心ですが、政府は、今後、民事訴訟の全判決文をデジタル化し、データベースを構築する計画を進めていて、環境が整えばリーガルテックはさらなる向上が見込めます。
 法務省幹部は「国際競争力の向上にもつながる。成長産業の健全な育成に協力していきたい」としています。

 弁護士法72条には、以下の規定があります。
「 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」

 AIを活用した契約書の審査サービスを巡り、右上方の表のとおり、弁護士法に抵触しない範囲が明示されたことで、業界関係者は「混乱が解消される」と胸をなでおろしています。

 弁護士会側からも、弁護士資格のないAIが関与できる範囲を広げると、「無資格のブローカーが法律上のトラブルに関与する余地ができる」との懸念が寄せられていました。
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