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2023年バックナンバー

雑記帳

ドイツも「娯楽用の大麻合法化」に踏切る

 日本では、大学生の大麻所持問題で大騒ぎになっています。

 オランダの「coffeeshop」で、合法的に大麻を吸えるのは、結構有名な話です。
 オランダの「喫茶店」は「koffie huis」「thee huis」で別の単語です。

 ドイツで、令和5年8月16日、娯楽用大麻の利用と栽培の合法化が閣議決定されました。
 一定の制限のもと、嗜好品としての大麻の栽培、所持、流通が合法化されます(処方箋が必要な医療用大麻の入手は平成29年から可能になっていました)。
 成人は個人使用のために25グラムまでの大麻の所持が認められ、個人使用目的の栽培では、成人一人につき雌花3株までが許可されます。

 売買は自由にできるわけではありません。
 会員制の「非営利の栽培協会や大麻クラブ」を通じてのみ、大麻の葉や栽培のための種子や苗が入手できることになります。
 会員数の上限、会員が1か月に受け取れる量の制限など、ここにも細かい制約が多く定められています。
 そのほか、学校をはじめとする児童・青少年施設、遊び場から最低200メートル離れた場所にしか協会を設置できない、協会の敷地内での大麻消費は許可されないなどのルールがあります。

 連立内閣を構成する「SPD」「緑の党」「FDP」各党の選挙公約にはいっていたそうです。
 政府が合法化に踏み切ったのは、無秩序な取引がおこなわれる闇市場を撲滅し、粗悪な大麻による健康被害から人々を守り、大麻に絡む組織犯罪を減らすためだとされています。
 保守系野党の「CDU」「CSU」は反対です。
 完全な自由化を望む「左派党」は、逆に、政府の案は「制約が多すぎて不充分だ」としています。

 ドイツでは、厳格な禁止が抑止力にならず、行政機関や司法機関の負担が問題となったことや、大麻の危険性を小さいとみなす研究、および大麻の効能の研究が進んだこともあり、1990年代以降は、規制や取り締まりを次第に緩和する方向へシフトしてきました。
 平成6年以降は、「少量」の大麻所持ならばほとんど起訴されない方針となり、前記のとおり、平成29年には医療用大麻が解禁されました。

 欧米では近年、大麻の非犯罪化・合法化の流れが進んでいます。
 大国であるドイツがそれに加わったことは、欧州や世界に大きな影響を及ぼすかもしれません。

 そもそも、大麻で、現在のように重い処罰をする必要があるのかどうかについては、法律家のうちでも意見が分かれています。


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