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2023年バックナンバー

雑記帳

子を認知すると戸籍はどうなるか

 法律上の夫婦関係のない男女の間に生まれた子(嫡出子でない子)は、母が出生届を出すことにより、母の戸籍に入ります。
 その際、母親が戸籍の筆頭者でない場合には、分籍して母親が筆頭者の戸籍が新たに作られ、その戸籍に母と子が入ります。
 自分が戸籍筆頭者なら、子が入ります。
 このとき作られた戸籍では、子の「父」の欄は空欄になっています。
 この段階では、父親からの扶養や相続を受ける権利はありません。

 法律上の父子関係を成立させるためには、父親が子を認知する必要があります。
 認知には、父親が市区町村に認知届を出すことによっておこなう任意認知と、認知を求める調停などを家庭裁判所へ申立てることによる強制認知とがあります。
 調停が成立しなければ、最終的に判決になります。

 その昔は、DNA鑑定が一般的でなかったため、判決になることもありました。
 そんなに昔のことではありません。
 私が、弁護士になった平成2年ころはそうでした。
「血液型が矛盾しない」「顔かたちがよく似ている」「子をかわいがっていた」などということを、真面目に論争していたのです。
 現在は、DNA鑑定で勝負あり、調停が普通成立します。
 任意認知、強制認知、いずれによっても、市町村に認知届が受理されることで、法律上の父子関係が成立します。
 空欄だった「父」の氏名が記載されます。
 父の戸籍にも認知の事実が記載されます。

 ただ、認知をした後に本籍地を移して新戸籍になったり、また、別の理由で戸籍が新たに作られたときには、子を認知した事実は新たな戸籍には記載されません。
 相続などでは、死亡時の戸籍を見るだけでは認知した子の有無が判明しない場合もあるため、被相続人である男性の出生までさかのぼり、古い戸籍(除籍謄本、改製原戸籍謄本)をさかのぼってチェックする必要があります。

 なお、認知された子が、父の戸籍に入るには、親権者が、家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立」をし、その審判書謄本を付けて市町村へ届けをします。
 この入籍届の受理とともに、子は母親の戸籍から除籍され、父親の戸籍に入ります。
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