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2023年バックナンバー

雑記帳

裁判所の重大事件記録の保存、電子化に難色

 最高裁判所は、令和5年6月の調査報告で、紙の記録を電子化して保存するのを事実上見送りました。
 記録を全て電子化しようとすれば、作業量もデータ量も膨らみ「国民の負担で行うのが相当か慎重に検討が必要」と否定的な考えでした。

 一見すると、保存場所の不足は電子化で解消できますし、スキャン精度の向上や画像の文字を自動で読み取れる機能など、デジタルの利便性は存在します。

 他方には、保存という側面の他に、データへのアクセスという面も存在します。
 事件記録には、差別につながる個人情報が含まれることがあり、とりわけ電子化には、好ましくない利用者のアクセスを防ぐ仕組みが重要となります。

 また、改竄が容易という点もあります。
 紙に書かれた文書と異なり、デジタルの記録は、改ざんが容易で、誤って簡単に消去されうる危険性もはらみます。

 ただ、世の中に紙ベースの文書はほとんどなく、記録が全て電子データになる日もくるかもしれません。

 しかし、事件記録には、差別につながりかねない個人情報が含まれるところ、デジタルの記録は、改ざんが容易という危険がありますし、好ましくない利用者のアクセスを防ぐ仕組みが、現在のところ十分ではありません。
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