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2023年バックナンバー

雑記帳

定年後の再雇用 給与の大幅減額は

 定年後に再雇用された際に、同じ仕事なのに基本給が大幅に減額されたのは不当だとして、名古屋自動車学校(名古屋市)に勤めていた男性2人が学校側に差額の支払いなどを求めた訴訟の上告審判決で、令和5年7月20日、最高裁は「不合理かの判断には、基本給のさまざまな性質を検討すべきだ」との判断を示しました。

 「骨太の方針 2019」を元に、法律で義務付けられているのは以下のとおりである(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の改正)。
 「高年齢者が、年齢に関わりなく働き続けることができる「生涯現役社会の実現」を目指して、いずれかの措置を、65歳まで講じるよう企業に義務付けています。
 定年制の廃止
 定年の引上げ
 継続雇用制度の導入(高年齢者雇用確保措置)

 さらに、令和2022年4月4日からは、70歳までを対象として、という雇用以外の措置のいずれかの措置を講じるように努めることを義務付けています。
 定年制の廃止
 定年の引上げ
 継続雇用制度の導入という雇用による措置
 業務委託契約を締結する制度の導入
 社会貢献事業に従事できる制度の導入」(高年齢者就業確保措置)

 その昔は定年が55歳で、60歳から年金が出ていました。
 妻は専業主婦として、パートにでるということは少数派でした。
 日本人は、歳をとっても元気で働けるようになりました。
 また、年金は65歳から、その金額も多くはありません。

 定年退職して同じ会社で嘱託職員として再雇用され、定年前後と同じ業務を行っている場合、基本給は大幅にダウンで賞与も支給されないというケースをがあります。

 令和4年3月25日の名古屋高等裁判所にて、定年再雇用の労働条件と待遇格差の不合理性について判決がでました。
 「職務範囲等に相違がないにもかかわらず、定年後再雇用者らの給与は定年退職時の50%以下に減額されており、職務上経験の劣る若年性社員の給与をも下回っている」「定年後支給される、高年齢雇用継続基本給付金および老齢厚生年金(報酬比例部分)を加味しても定年退職前の支給総額との間には相違がある」「よって、定年退職前後で給与格差があるのは不合理と言える余地がある」「定年後再雇用の給与が定年前給与の60%を下回るのは不合理と認められる」とされています。

 令和5年7月20日、最高裁第1小法廷は、高等裁判所の判決を破棄して、審理を名古屋高等裁判所に差し戻す判決を言渡しました。
 「法令違反として格差是正を命じた原審判決は、法令の解釈を誤った違法がある」「基本給の性質や目的を踏まえて引き下げの合理性を審理すべきであるとして、示した判断の枠組みを示しているが、原審では審理が尽くされているとは言えない。そのため、名古屋高裁に差し戻して改めて審議を行うことを命じる」とされています。

 定年後再雇用の給与が定年前給与の60%を下回るのは不合理と断ずるのは行き過ぎでしょう。


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