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2023年バックナンバー

雑記帳

万引き王国になったイギリス

 イギリスでは、平成26年の法改正で200ポンド(約3万6000円)以下の万引きは軽犯罪になり、警察は積極的に捜査しなくなりました。
 警察官が、殺人、放火など重大犯罪に手一杯で、万引き捜査にまで手が及ばなくなったからです。

 イギリスの大衆紙デーリー・メール(令和5年9月16日付電子版)によると過去5年間でイギリスの警察が受理した万引きは計158万277件だそうです。
 小売店の防犯カメラに残された映像を手掛かりに警察が受理した件数のうち起訴されたり、取り調べが行われたりしたのはわずか18%だそうです。
 イギリス小売協会の推計では実際の件数は800万件にのぼり、小売店は1年当たり総額10億ポンド(約1810億円)近い損害を被っているという計算になるそうです。

 イギリスのエコノミスト(令和5年9月22日付電子版)も「イギリスで万引きが増える理由」という記事を掲載したほどです。
 令和5年3月までの1年間に警察が受理した万引きの件数は34万2343件にのぼり、前年に比べ24%も増えています。

 私自身、スーパーマーケットを営業するスーパーマーケットの民事再生申立をしたことがありますが、例えば、粗利5%の商品を1個万引きされると、それを挽回するためには、20個の商品を売らなければならず、粗利2%の商品を1個万引きされると、それを挽回するためには、50個の商品を売らなければならないと嘆いていたのが記憶に残っています。
 もちろん、粗利を上げればよいのですが、粗利を上げると、周辺のスーパーに客をもっていかれます。

 イギリスは、EU離脱・コロナ・インフレ・エネルギー危機・脆弱な社会保障で、社会が混乱しています。
 何も知らない日本人が、イギリスがうらやましいということがありますが、全くの誤りです。

 スーパーは、欧州連合(EU)離脱、コロナ危機以降、商品棚がガラガラになっただけではなく、会計コーナーがアクリル板で完全に防御されているそうです。
 会計コーナーの後ろに置かれた高級酒やタバコの高額商品を集団万引きから守るためだそうです。
 万引きと言うより、強盗と言った方が適切かも知れません。
 覆面グループが白昼堂々と小売店に押し入り、転売できる商品を棚から根こそぎ持っていきます。
 インフレやエネルギー危機、ウクライナ戦争で「生活費の危機」が深刻化する中、イギリスでは組織的な集団万引きが横行しています。
 貧富の格差拡大が産み落とした社会的病理といえます。
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