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2023年バックナンバー

雑記帳

台湾初の自国製造の潜水艦「海鯤」

 台湾は、令和5年9月28日、初めて自主建造した潜水艦を進水させました。

 建造費はおよそ500億台湾ドル(約2300億円)とされています。
ロイター通信は、台湾は、同級の潜水艦を令和9年までに少なくとも2隻配備する意向だと報じています。
 ディーゼルエンジンとリチウムイオン電池を搭載する通常型動力艦で、排水量は2500トンで全長約70m、幅約8m、潜航深度350~420m(推定)だそうです。

 外観は海上自衛隊の「そうりゅう型潜水艦」に似ていて、そうりゅう型をベースに開発されたと噂されています。
 潜水艦建造のノウハウを持っていない台湾の今回の建造プロジェクトには三菱重工業と川崎重工業を退職した潜水艦技術者で構成された日本のチームが技術支援していると噂されています。
 また、米国が米海軍原子力潜水艦で使用されているAN/BYG-1潜水艦戦闘管理システムの他、海鯤用と思われるMk48魚雷、ハープーンミサイルを台湾に売却するなど、「海鯤」の開発には、一説では米英に加えて、オーストラリア、韓国、インド、カナダ、スペインからもエンジニアと元潜水艦乗りを集めたとされています。

 リチウムイオン電池を搭載する通常型動力艦は、令和2年3月5日に日本が竣工させた建造した「そうりゅう」型潜水艦の11番艦である「おうりゅう」と、12番艦である「とうりゅう」(令和3年3月24日に竣工)、最新の「たいげい」型潜水艦の1番艦である「たいげい」(令和4年3月9日に竣工)、2番艦である「はくげい」(令和5年3月20日に竣工)の4隻しか世界に存在しないはずです。
 また、日本ではそうりゅう型潜水艦から採用された(おやしお型潜水艦には採用されていない)「X字型」の舵が採用されています。

 日本の協力は公式には否定されています。
 ただ、蔡英文総統も出席した進水式典ではアメリカ人の他、日本人も招待されて出席しています。
 真相は藪の中です。

 中国は台湾に侵攻する際、まず何百発もの弾道ミサイルや巡航ミサイルを台湾の防空設備に向けて発射するとともに、台湾軍の補給線や通信網の寸断を図ると考えられます。
 それに続いて、中国の海軍や民兵部隊が部隊や車両を台湾に上陸させる必要があります。
 そのためには、台湾海峡を150キロメートルを渡って台湾の西海岸に到達しないといけません。
 東海岸に上陸する場合は、さらに長い距離、つまり数百キロメートル航行する必要があります。

 海上では、侵攻する中国側部隊は相手側から非常に狙われやすいといえます。
 さらに、たとえ一部の部隊を上陸させることに成功したとしても、それらの部隊もまた脆弱な状態になります。
 台湾で地上作戦を開始してから決定的に重要な最初の数週間、中国側は補給を艦船に頼ることになるからです。

 台湾側が十分な数の揚陸艦や補給用の艦船を沈めれば、上陸部隊はたちまち食料や燃料、弾薬が欠乏し、侵攻は沿岸部か少し内陸のあたりで頓挫することになります。

 台湾軍の水上艦や、ハープーン対艦ミサイルを搭載しF-16戦闘機も、中国の艦隊にとってはある程度の脅威になるでしょうが、台湾の潜水艦は、もっと脅威になるはずです。
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