本文へ移動

2023年バックナンバー

雑記帳

機会費用

 経済学で、ある行動を選択したために諦めざるを得なかった別の行動から得られたはずの利益のことを「機会費用」といいます。ある経済的行為を行うことにより放棄しなければいけない利益のことで目には見えません。

 サミュエルソンの『経済学』に弁護士とタイピストの例が出ています。

 弁護士がタイプを打つ速度・正確性が、タイピストより早く、正確であれば、タイピストを雇うのは損でしょうか。
 弁護士とタイピストでは、時間あたりに稼ぐ収入に大きな違いがあります。
 弁護士が、タイピストのする仕事を取り上げ、タイプを打った時間分だけ、弁護士の本来できたであろう仕事ができなくなったのですから、弁護士の時給とタイピストの時給の差額分損をしたことになります。
 弁護士としては、タイプを自分で打つのではなく、タイピストを雇う方が「お得」ということになります。

 その他の例としては、電車で行けば安くつきますが、タクシー利用により時間節約をすれば、有効な時間利用ができ、交通費の差など吹き飛びますし、普通車で行くより、グリーン車で余裕を持って原稿をワープロを打って有効な時間の利用をはかれば、交通費の差など吹き飛びます。
 弁護士が、タクシーに乗ったり、グリーン車に乗ることは、経済学的に考えて、それなりの合理性があることになります。

 話がかわって、コンピュータ製作・カスタマイズ、プログラム作成が大好きな知人の弁護士がいます。

 コンピュータは「できあい」を買い、法律事務所のホームページ作成などを業者に依頼すれば、コンピュータ制作やプログラミングに要する時間を、本来の弁護士業務に回せますから、「できあい」のコンピュータを購入したり、プログラミングしてもらうのが間違いなく得です。業者に「ぼられ」なければの話です。

 しかし、この弁護士は、コンピュータ製作・カスタマイズやプログラミングが趣味です。
 「機会費用」などとつまらないことを言う必要は全くありません。
 それで、日頃のストレスが発散されるなら、安いものです。
 ストレス発散のため、バーやラウンジに行ったり、ゴルフに行ったり、海外旅行したりすることを思えば、ずっと安上がりですね。
TOPへ戻る