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2023年バックナンバー

雑記帳

年金の受給年齢開始年齢は上がるか

 生年金保険法及び国民年金法の規定により、少なくとも5年ごとに、国民年金及び厚生年金の財政の現況及び見通しの作成、いわゆる財政検証が実施されています。
 次回は、令和6年度です。

 目標は、所得代替率が50%以上になるというように制度設計をします。
 所得代替率とは、公的年金を標準的に受給し始める65歳時点のモデル年金額(額面。マクロ経済スライドによる給付水準調整終了後)が、その時点の男性現役世代の平均手取り収入(賞与込)と比較して、どの位の割合かを示すものです。

2019 年年金財政検証の概要と評価

 令和元年度の財政検証の結果は、1頁の表と2頁の表を比べてみて、ケースⅠⅡⅢの場合は、所得代替率が50%以上の要件は満たすが、ケースⅣⅤⅥの場合は、要件を満たさず、制度設計の見直しが必要となります。
 現在の経済状態をみると、ケースⅣⅤでほぼまちがいがないでしょう。
 もともと、ケースⅠⅡⅢは「こうあったらいいなぁ~」という願望です。

 支給開始年齢が現在のままだと、厚生年金の積立金は令和22年(2040年)ころには枯渇すると考えられています。

 現在は65歳支給開始です。
 経過措置として、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢は、平成12年の法律改正により、平成25年度から平成37年度(=令和7年度)にかけて60歳から65歳に引上げられている途中です。

受給開始年齢が68歳(先進諸外国では、67歳、68歳が多いです)ですむか、70歳まで一気に引き上げるかの選択肢しかないようです。
 令和17年(2035年)以降に、団塊ジュニア世代が65歳になることなどから、それまでに支給開始年齢をさらに引き上げていくことが好ましいでしょう。

 次回の令和6年度の財政検証の際、支給開始年齢の問題を提起すべきでしょう。
 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢経過措置開始は、一番早くて、65歳支給開始の経過措置が終了する令和7年です。
 
 とりあえず、支給開始年齢を68歳までにするとして、厚生年金の積立金が枯渇する令和22年(2040年)に経過措置が完了するとすると、経過措置に最低6年、実際にはもっとかかりますから、遅くとも、令和16年(2034年)に経過措置を開始しなければなりません。

 仮に、支給開始年齢を70歳までにするとして、厚生年金の積立金が枯渇する令和22年(2040年)に経過措置が完了するとすると、経過措置に10年かかりますから、遅くとも令和20年(2030年)に経過措置を開始しなければなりません。

 いずれにせよ、令和6年度の見直しの際に、支給開始年齢の問題を提起すべきということになります。
 まだ、年金制度を持続性のあるものにするためには、制度の見直しが必須となります。
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