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2023年バックナンバー

雑記帳

嫌悪施設

 日本で、1年あたりに死ぬ人の数は、令和4年で157万人だったそうです。
 火葬場が一杯で追いつかないそうです。
 火葬待ちが多くなり、ドライアイスだけでは足りず、遺体の冷蔵庫が売れているそうです。
 以前なら絶対告別式をしない「友引」にも告別式をするようになりました。その場合、棺に小さな人形を入れるそうです。現実に生きている人を「友引」にするのではなく、人形を「友引」にするという趣旨です。

 「嫌悪施設」という言葉があります。
 嫌悪施設とは、文字どおり、周辺の人々に嫌われる施設のことです。
 周辺に嫌悪施設がある場合、不動産の売却時にマイナス要因となります。
 広い意味では、存在する必要もないし、自分の近所には存在してほしくない施設ということがありますし、狭い意味では、存在自体は必要不可欠であるが、自分の近所には存在してほしくない施設があります。

 狭い意味の「嫌悪施設」は、「NIMBY」と呼ばれることがあります。「Not In My Back Yard」の略で「自分の裏庭には存在してほしくない」という意味です。

 存在する必要もないし、自分の近所には存在してほしくない嫌悪施設の典型は、パチンコ店や風俗営業や暴力団組事務所などですね。
 教育への悪影響と治安の悪化が理由です。
 法律や条令で、学校の近所等特定の地域で営業が禁止、制限されている業種があります。

 存在自体は必要不可欠であるが、自分の近所には存在してほしくない施設が悩ましいところです。
 騒音、悪臭、汚染を生み出す工場などの公害発生施設は、どこかにないとまずいですが、自分の近所には存在してほしくないでしょう。
 墓地、ガソリンスタンド、刑務所・拘置所、精神科病院、高圧線鉄塔、ゴミ焼却場、下水処理場、火葬場なども、どこかにないとまずいですが、自分の近所には存在してほしくないでしょう。

 土地には用地制限(土地は、大きく「住居系」、「商業系」、「工業系」に別れます)があり、例えば、私は第一種低層住居専用地域にある土地に家を建てて住んでいますが、近所に「嫌悪施設」ができるということは考えにくいです。

 さて、嫌悪施設には反対運動が生じることがあります。
 「自分たちだけ不利益を被らなければよい」とする「住民エゴ」という批判がなされることがあります。
 かといって、「住民エゴ」と批判する人も、現実に、反対運動をしている嫌悪施設が、自分の家の近所に来るのは嫌でしょう。
 人間は、本質的に「利己的」な生き物です。
 なお、不動産を購入するならば、周辺施設は、自分の目で、朝昼晩、平日休日とわけて確かめることは当然の前提です。
 不動産会社が「別に気になるような施設ではない」と判断したものが、買主からみれば、絶対避けたい事情というケースもありますから。

 ちなみに、火葬場を増やすということは難しいだけではなく、必要ないという考えもあります。
 日本の死亡者は、2040年にはおよそ167万人とピークを迎えたあとは減少に転じるものの、2070年まで年間150万人以上で推移する見込みです。
 増加数はさほど急はありませんし、17年間だけ乗り切ればすむことだそうです。
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