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2023年バックナンバー

雑記帳

隠れた円安リスク「家計の円売り」の現在地

 日本銀行が令和5年9月に公表した「資金循環統計」によりますと、令和5年6月末時点における家計金融資産は2115兆円と過去最高でした。
 家計金融資産に占める外貨性資産の割合は3.3%にとどまっています。大半は依然として円貨性資産です。

 もっとも、外貨性資産の割合は徐々に高まっており、「円から外貨へ」という動きが加速しているのは間違いないようです。

 しかし、ネット銀行が高利で外貨預金を集めているという動きや、個人ベースで外貨投資が盛んになっているという動きは断続的に報じられています。
 米ドル定期預金にするだけで4%~5%の利息が付くというのは、為替差益を考えなければ魅力的です。

 ただ、令和4年の経常黒字は11兆4432億円ですから、家計金融資産2042.8兆円の0.55%が、外貨購入に動けば経常収支は赤字となってしまいます。
 経常収支の赤字は、さらなる円安を意味します。

 もっとも、家計金融資産の多くを高齢者世帯が有していて、高齢者は、元金が保障されない金融資産を有することを極端に嫌う(米ドルでは元金割れはしないものの円換算だと、為替相場により元金割れします)ことから、円の金融資産を外貨に替えるという動きは、すぐには活発になるとも思えません。


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