2023年バックナンバー
雑記帳
スイス「世界最長トンネル」脱線事故
令和5年8月10日、アルプス山脈を貫くスイスの鉄道トンネル、ゴッタルドベーストンネルで貨物列車が脱線しました。
ゴッタルドベーストンネルは全長約57.1kmで、世界最長の鉄道トンネルです。
平成28年6月1日に開通しました。
開通前は、青函トンネルが最長のトンネルでした。
1位 スイス・ゴッタルドベーストンネル・57.1km
2位 日本・青函トンネル・53.85km
3位 英仏海峡トンネル・50.5km
勾配とカーブの多い峠越えの旧線より高速で大量輸送が可能な新ルートです。
2本の単線トンネルが並ぶ構造です。
事故は西側のトンネル内で発生しました。
現場は2本のトンネルを結ぶ「渡り線」が設置されている場所で、線路や分岐器、信号装置などのほか、内部の気圧を調整する安全扉も破損したため、全面的に運行休止となってしまいました。
その後、東側のトンネルの被害は微少だったことを受け、令和5年8月23日から貨物列車限定で東側トンネルによる運行を再開していますが、旅客列車は峠越えの旧線経由での運行が続いています。
これにより、旅客列車の所要時間は通常より1時間以上長くなっていて、さらに旧線は車両の建築限界(車体の大きさがインフラ構造物に接触する限界値)の関係で2階建て車両の運行ができないため輸送力が減っていて、運行する列車の座席数は通常より30%ほど少なくなっています。
脱線したのは30両編成の貨物列車で、イタリア国内から貨車を連ねて走行中でした。
途中、イタリア・スイス国境に位置するキアッソ駅での点検時はとくに異常はなく、列車はそのまま発車しましたが、ゴッタルドベーストンネル手前のティチーノ州南部で、対向列車の運転士が貨車から煙が上がっているのを発見しました。
近くのベリンツォーナ駅に臨時停車して確認をしたところ、ブレーキが解除されない状態のまま、車輪とブレーキパッドが擦れた状態で走行していたことが判明し、当該貨車のブレーキを解除し、問題はないとして運行を再開しました。
その後、トンネルの手前に設置している列車の状態をモニタリングする自動監視装置を通過した際も、とくに異常は見られなかったそうです。
この事故でトンネル内の設備が大きな被害を受け、同区間を通過するスイス・イタリア間の国際旅客列車などは、同トンネルを通らない旧線への迂回運行を余儀なくされています。
ただ、トンネルには、事故だけではなく、土砂崩れといった自然災害など回避できない事象も考えられ、世界中の鉄道で常にリスクとして存在します。
旅客列車は旧線経由となって所要時間は1時間以上延びていますが、それでも乗換えなしで直通する列車を確保できているのは代替ルートが機能している証しですし、リスクマネジメントをきちんとしてきた結果と言えます。
ついでにいうと、景色は、旧線の方がはるかにきれいです。というか、新線では、何も見えません。
ゴッタルドベーストンネルは全長約57.1kmで、世界最長の鉄道トンネルです。
平成28年6月1日に開通しました。
開通前は、青函トンネルが最長のトンネルでした。
1位 スイス・ゴッタルドベーストンネル・57.1km
2位 日本・青函トンネル・53.85km
3位 英仏海峡トンネル・50.5km
勾配とカーブの多い峠越えの旧線より高速で大量輸送が可能な新ルートです。
2本の単線トンネルが並ぶ構造です。
事故は西側のトンネル内で発生しました。
現場は2本のトンネルを結ぶ「渡り線」が設置されている場所で、線路や分岐器、信号装置などのほか、内部の気圧を調整する安全扉も破損したため、全面的に運行休止となってしまいました。
その後、東側のトンネルの被害は微少だったことを受け、令和5年8月23日から貨物列車限定で東側トンネルによる運行を再開していますが、旅客列車は峠越えの旧線経由での運行が続いています。
これにより、旅客列車の所要時間は通常より1時間以上長くなっていて、さらに旧線は車両の建築限界(車体の大きさがインフラ構造物に接触する限界値)の関係で2階建て車両の運行ができないため輸送力が減っていて、運行する列車の座席数は通常より30%ほど少なくなっています。
脱線したのは30両編成の貨物列車で、イタリア国内から貨車を連ねて走行中でした。
途中、イタリア・スイス国境に位置するキアッソ駅での点検時はとくに異常はなく、列車はそのまま発車しましたが、ゴッタルドベーストンネル手前のティチーノ州南部で、対向列車の運転士が貨車から煙が上がっているのを発見しました。
近くのベリンツォーナ駅に臨時停車して確認をしたところ、ブレーキが解除されない状態のまま、車輪とブレーキパッドが擦れた状態で走行していたことが判明し、当該貨車のブレーキを解除し、問題はないとして運行を再開しました。
その後、トンネルの手前に設置している列車の状態をモニタリングする自動監視装置を通過した際も、とくに異常は見られなかったそうです。
この事故でトンネル内の設備が大きな被害を受け、同区間を通過するスイス・イタリア間の国際旅客列車などは、同トンネルを通らない旧線への迂回運行を余儀なくされています。
ただ、トンネルには、事故だけではなく、土砂崩れといった自然災害など回避できない事象も考えられ、世界中の鉄道で常にリスクとして存在します。
旅客列車は旧線経由となって所要時間は1時間以上延びていますが、それでも乗換えなしで直通する列車を確保できているのは代替ルートが機能している証しですし、リスクマネジメントをきちんとしてきた結果と言えます。
ついでにいうと、景色は、旧線の方がはるかにきれいです。というか、新線では、何も見えません。