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2023年バックナンバー

雑記帳

日本人の英語下手

 令和5年11月、国際教育事業のイー・エフ・エデュケーション・ファーストが、2022年版「EF EPI」(English Proficiency Index。英語能力指数)を発表しました。
 EF EPI 英語能力指数は、2011年より毎年発表されている英語能力ランキングです。
 今回の調査では、世界111か国・地域が対象となっています。
 2022年の日本の順位は、昨年の112ヵ国中78位からさらにダウンし、111か国・地域中80位になりました。

 一般に、日本人は英語が苦手です。
 日本は、経済的に恵まれていますし、識字率や教育水準が高にもかかわらず、「英語」だけが苦手です。
 日本は島国ということもあります。
 日本に住んでいるのは、ほぼ日本人で、日本語さえしゃべれれば、何の問題もなく生活していけます。

 日本は、植民地支配をされたことがありませんから、外国語を「しゃべらされる」機会がありませんでした。
 植民地になっていれば、宗主国の言葉を話さないわけにはいきません。
 発展途上国の首脳が、それなりの「訛り」があっても、英語をしゃべれるというのは、かつて植民地だったからです。

 高等教育も日本語で十分です。
 意外に思われるかもしれませんが、日本でも、初期の帝国大学(のちの東京帝国大学)では、日本語の語彙の不足などにより、英語で教育がなされていた一時期があったそうです。
 ノーベル賞にしたところで、文学賞・平和賞以外の理系の賞を、英語をしゃべれない日本人が獲得したりします。

 「卵が先」か「鶏が先」かはわかりませんが、日本では、世界各国のいわゆるベストセラーとよばれる本は、日本語訳の本が出版されます。また、専門書でも、日本語訳が出版されます。
 オランダや北欧あたりになると、オランダ語や北欧の諸言語の専門書は数が限られているそうです。
 日本は人口が多いですし、経済的にも恵まれていますから、マーケットが十分あります。
 特定の本が読みたいがために、外国語を理解する必要はありません。
 ただ、お医者さんは、翻訳されるのを待たずに読む必要があるのか、英語の文献はたいてい読めます。

 外国語ができる法律家は少ないです。
 裁判所法74条に「裁判所では、日本語を用いる」となっています。裁判所規則138条には「外国語で作成された文書を提出して書証の申出をするときは、取調べを求める部分についてその文書の訳文を添付しなければならない」となっています。
 裁判官も、検察官も、弁護士も、法廷で仕事をする限り、外国語は必要ありません。
 もっとも、弁護士については、事件によっては、簡単な英文について「翻訳をつけろ」「翻訳をつけろ」といっていたのでは、依頼者の心証も悪いでしょう。

 海外の駐在員は、英語をしゃべることが必須でしょうが、日本人の皆が皆、駐在員になるわけでもありません。
 ホテルマン(パーソン)は、ある程度のレベルのホテルになれば必要でしょう。日本語チャンネルしか入らない程度のホテルなら英語は期待できないようです。
 外国人にとって、日本の鉄道の駅員やタクシーの運転手が英語を話せないということは不満の種ということになりますが、仕方がありませんね。
 日本の鉄道の駅員やタクシーの運転手の収入は知れています。

 私は、1982年から1984年までドイツに留学していました。
 40年前のことです。
 当時でも、ドイツ人は英語が話せる人は多かったです。
 なんといっても、ドイツ語と英語は似ています。
 当時、ドイツでも50歳、60歳をこえた人には英語がしゃべれない人がいる、あと30年もすれば、すべてのドイツ人が英語を話せるようになるというドイツ人がいました。
 現実には、完全な間違いでした。
 現在も、少なくはなりましたが、英語がしゃべれないドイツ人はいくらでもいます。 若い人、中年、高齢者いずれにもいます。
 ドイツは大国です。ドイツ語だけで生活して行くには不自由がありません。必要がなければ、しゃべれない人はしゃべれないままです。

 日本も、老いたりといえども大国であることに間違いはありません。
 日本語だけで十分生活していけます。
 もっとも、英語を読めて聞ければ便利(話すのと書くのは、少し劣っても、大丈夫です)であることは間違いありません。
 ただ、英語などの外国語を読んだり聞いたりできれば、世界が広がります。
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