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雑記帳

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年金支給額2年連続の目減り

 令和6度の「公的年金」の受給水準が目減りする見通しであることが、ニッセイ基礎研究所の試算で分かりました。
 目減りは令和5年につづき、2年連続です。
 令和6来年度の年金支給額の額面は増えますが、物価や賃金の上昇率よりは上がらないので、実質的に目減りするということです。

 「公的年金」の金額は、経済状況の変化に対応して価値=価格を維持するため、毎年度、金額が見直されています。
 今回の年金額の目減りの理由は、平成16年の年金改革で導入された「マクロ経済スライド」という、年金の給付水準を調整する仕組みが発動されるためです。

 ちなみに、小泉元首相のもと「100年安心」といううたい文句でしたが、20年も経たないうちに破綻がみえてきました。小泉首相は、「マクロ経済スライド」について、「」専門家に聞いて下さい」と国会で答弁しています。

 日本は少子高齢化の影響で、年金受給者は増える一方で、現役世代が減ってしまいます。
 そのなかで、現役世代の負担が大きくなりすぎないように厚生年金は保険料の上限を18.3%に固定して、給付水準を財源の範囲内に抑えています。
 「マクロ経済スライド」は、年金財政の長期安定を目的に、年金の給付額を物価や現役世代の賃金の伸び率よりも抑制する仕組みです。
 そうしないと、将来世代の年金給付が大きく減少する可能性があるためです。

 令和5度の年金の支給額の名目は引上げとなる見通しです。
 来年度は、賃金上昇率の3.0%ですが、「マクロ経済スライド」により、賃金上昇率の3.0%から0.4%引き下げ調整し、年金の給付額は2.6%増にとどまります。
 つまり、現実の物価や賃金の上昇と比較して、名目の年金額は上昇しますが、実質的な支給率は0.4%マイナスになるということです。

 「マクロ経済スライド」の発動は、平成16年の制度導入から、平成27年度、令和元年度、令和2年度、そして令和5年度にしか発動されていません。
 令和6も発動されますので2年連続目減りとなるわけですが、さらに続くとかなり厳しくなります。

 年金受給層からは、当然、反発があると思うのですが、将来の年金財政や現役世代の負担を考えると、財政健全化と世代間の不公平の改善という側面があります。
 もっとも、現役世代が年金を受取るようになってから、減額に減額を重ねた年金しか受給できないことにもなります。


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