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2015年~2017年バックナンバー

声紋鑑定

 「イスラム国」が日本人2人を「人質」にとりました。

 後藤健二さんが、湯川遥菜さんが殺害されたとされる写真を持って話している声が、本人によるものか、あるいは、他人の声かという議論がありました。

 「I am Kenji Goto」ではじまる、後藤さんの画像につく音声は英語で3分弱です。

 専門家の「声紋鑑定」の意見が分かれていますね。

 後藤さんが平成26年10月にシリアに入国した際の音声がサンプルです。

 拘束前に後藤さんが「何か起こっても責任は私自身にあります」などと日本語と英語で話していた動画と、今回の画像を分析し、英語で「ケンジ・ゴトウ」と名乗る部分だけで語尾が上がる点など10カ所の特徴が一致し、違っている部分は2カ所程度にとどまるといい、「99.9%、後藤さん本人の声だ」とする専門家がいます。

 他方、別の専門家は、拘束前に後藤さんが「何か起こっても責任は私自身にあります」などと日本語と英語で話していた動画と、今回の画像を分析し、共通する「don't」「my」「please」など5つの言葉で声紋を鑑定し、その結果、全ての言葉で声紋が一致しない箇所があった。99%以上別人だ」と判断しています。
 例えば「my」。母音が「ア」から「イ」に移行する声紋は、公開された音声の方が後藤さんより200ヘルツほど周波数が高く、逆に「don't」は後藤さんの方が300ヘルツ高かった。「声紋の波形が違う。口、鼻、のどの形や舌の動き方などが全く異なってくる」と例をあげています。


 これだけ専門家の意見が食違えば「声紋鑑定」は「いい加減」ということになります。

 話者には日本人固有のイントネーションが含まれるので、日本人であることは明白だそうです。

 確かに、日本人が日本語をしゃべっていれば、アクセントやイントネーションで、同一人物かどうかは、わかりやすいかもしれません。

 しかし、日本人が英語をしゃべると、アクセントやイントネーションの違いはわかりにくくなります。
 関西弁で話す人も、東京弁で話す人も、東北弁で話す人も、英語をしゃべると特徴がわからなくなります。

 遊女が、「ありんす」など独特の言葉を使っていたのは、訛りを隠すためとされていますね。

 ですから、声紋鑑定を「いい加減」と言い放つのは危険です。


 なお「筆跡鑑定」などは、間違いなく「いい加減」です。

 DNA鑑定や指紋鑑定は、人間が判断すると言うより、コンピュータによる結果が出てきますから「ある程度」信頼できます。

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