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2015年~2017年バックナンバー

弁護士会の法律相談の減少

大阪弁護士会の法律相談件数は減少の一途をたどっています。
 どこの弁護士会も同様のようです。

 大阪弁護士会は、大阪弁護士会館、なんば法律相談センター、堺法律相談センター、岸和田法律相談センター、谷町法律相談センター、南河内法律相談センターの6カ所で法律相談業務を行なっています。

 相談件数の減少により、大阪弁護士会にとって「赤字事業」となっています。
 大阪弁護士会は、法律相談料もそうですが、法律相談から、そのまま直接受任となるときは、着手金・報酬の7%の上納金が入ります。
 それでも運営費用も出ずに赤字になるのです。


 もっとも、利用者側からすると「だから?」「それで?」ということになりそうです。

 大阪弁護士会の法律センターの法律相談の減少は、有料であることに一因があります。


 大阪弁護士会の法律相談は、原則(交通事故・個人の破産など債務整理除く)有料です。30分5400円です。

 日本司法支援センター(法テラス)にいけば、無料で、法律相談ができます。
 収入・資力要件がありますが(高収入者・財産を一定以上持っている人は利用できません)、資力要件が甘い上、法律相談だけなら、資料なしの申告ベースで受付けますから、どうしても、無料の法テラスに流れます。

 また、個々の法律事務所のホームページを見ると、「法律相談料無料」(「初回に限り」「30分間」などの限定がつきます)をうたい文句にしているホームページがたくさんあります。
 当事務所は、法律相談は有料(個人30分5000円+税。事業者・会社30分1万円+税)ですが、今となっては、少数派になっていっているのかもしれません。

 日本人は、サービスにお金を払うことは極端に嫌います。
 法律相談は安ければ安いほどよいという考えなのでしょう。
 そうすると、法テラスや、ホームページで相談料無料の法律事務所を探せばいいわけです。

 HPをみての「顔が見える」有料法律相談も増えています。
 私への法律相談もそれなりにあります。法律コラム、学歴、職歴などには、結構目を通しています。
 後記の「質」の問題で、無料相談はあてにならないと考えた相談者も結構います。

 大阪弁護士会の法律センターの法律相談の減少は、弁護士会で相談に当たる弁護士の質の問題もあります。

 弁護士にとって、法律相談は、事件受任のチャンスでもあります。
 ですから、「法律相談料無料」(「初回に限り」「30分間」などの限定がつきます)をうたい文句にしているホームページもあるのです。

 顧問先や紹介事件などで十分稼いでいける弁護士は、あまり、弁護士会の法律相談には行きません。
 もっとも、大阪弁護士会の場合、一定の「公益活動」をしなければ、年間6万円の特別会費を支払わなければならず、法律相談は「公益活動」にあたりますから、その理由で法律相談にあたる弁護士はいますが「まれ」で、ほとんどは「事件受任狙い」と考えた方がよいでしょう。

 となると、法律相談は、弁護士会の法律相談などをあてにしなくていい「売れている弁護士」にはあたらず、弁護士会の法律相談などをあてにしている「売れない弁護士」にあたる確率が高いということになります。

 弁護士が増えています。
 特に、若い弁護士が異常なペースで増えています。
 法律相談の担当弁護士は、若い弁護士にあたる確率が高くなります。

 一般論としていえば、若い弁護士に知識・経験は少ないです。
 私を含め、弁護士は、若い時より、経験年数を経た方が、知識・経験が豊富になります。但し、年齢を重ねるほど、記憶力が衰え、考え方に柔軟性がなくなるという弊害がありますから、年をとればとるほどいいということはありません。

 ちなみに、昔は、若い弁護士でも、相手は「素人」ですから、自分の知識不足や経験不足が露見するということは少なかったです。
 しかし、今の相談者は、インターネットなどで簡単に法律などについて調べて「武装」していますから、相談者の知識にある「キーワード」にふれる説明がなければ、「だめな弁護士」と判断されてしまうことがあります。
 結局、相談者は、他の弁護士に相談に行って、最初に相談した弁護士に事件を委任しません。

 これは、弁護士の経験年数を問わずいえることですが、経験年数の少ない若い弁護士に不利になることは否めません。
 経験をある程度積んでいれば、相談者がインターネットで仕入れた「にわか知識」くらいに対処はできるものです。


 ちなみに、弁護士不況の原因について、簡単にまとめている文章がありましたので、紹介します。

事件数激減          (4割減)
弁護士激増          (1.7万人→3.4万人)
法テラスによるダンピング  (破産40万円→14万円・実費込)
広告費激増          (年5万円→100万円以上)
安売り合戦激化        (全体の価格が30%減)
法律相談の割り当て激減  (10分の1近くにまで激減)
国選の割当激減       (4分の1近くにまで激減)
他業種の参入         (司書、行書、社労士、弁理士)
ロースクールで借金、修習貸与 (平均600~700万円)

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