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2015年~2017年バックナンバー

日本人の英語下手

関西ローカルのテレビ番組で、阪神OBの川藤幸三氏が、メッセンジャー投手に英語でインタビューという企画を放送していました。

 通訳もいますし、メッセンジャー投手は日本語をある程度話しますから、ある意味「ショー」です。

 川藤氏が「ナウ イヤー」と言い、みんなが「固まった」のですが、川藤氏が「だから、今年」と言うのを聞いて、メッセンジャー投手が「this yearですね」と答えていました。
 川藤氏は、「今」=「ナウ」、「年」=「イヤー」で、「ナウ イヤー」と言ったようです。


 別の話ですが、「イッテQ!」という番組で、出川哲朗が、ニューヨークマンハッタン島で、道行く人びとに、国連本部の道順を聞くために「ワールド・ホームセンター」や「ワールド・カントリー・カントリー・メニ・メニ・メニ・センター」と聞いて、誰にも伝わらなかったという場面がありました。
 マンハッタン島にいるわけですから、「United Nations Headquarters」とは言わないまでも、「United Nations」で通じますね。

 自由の女神(Statue of Liberty)を、「フリー・ウーマン」「フリー・ホワイト・ドール」と聞きまくったら、自由の女神のことだと「察した」人がいました。大したものですね。
 「Statue of Freedom」ではなく「Statue of Liberty」というのは、フランスから送られたからでしょうか。
 エッフェル塔の設計者であるエッフェルが、自由の女神の骨組みを設計したことは
ちょっとした「トリビア」です。


 こういう例は極端としても、日本は大学を出ていても、英語ができない人が多いです。
 どういう事情が影響しているのでしょうか。

 まず、日本は、タイや韓国と同じく、アジアの国々のうち欧米列強の植民地とならなかった希有な国です。
 インド人やフィリピン人は、英語をしゃべれる人が多いですが、それが「幸せな歴史」によるかどうかは疑問です。

 次に、日本語は、英語と文法が全くかけ離れています。
 ドイツ人ほぼすべてが英語をしゃべれるというのは、文法や単語が似ていることが最大の要因です。
 日本人が英語が苦手なのも、ある意味当然かもしれません。
 日本語と文法や単語が似ている言語はありません。
 どの外国語も難しいのです。
 なお、欧米諸国の人にとって、日本語を話すのは、さほど難しくないそうですが、漢字2000ないし3000の漢字とひらがなカタカナを覚えるのが大変なようです。

 また、日本語で大学教育を受けられます。
 意外に思われる方が多いかもしれませんが、大学教育を母国語で受けられない国もあるのです。
 他人事ではなく、日本も、東京大学が「帝国大学」時代(「東京帝国大学」の前の呼び名。京都に帝国大学ができることになり、区別するため「東京帝国大学」となりました。東京高等裁判所とはいいますが、東京最高裁判所とはいいません。1つしかなければ地名をつける必要はないのです)、英文学でもないのに、授業を英語でしていた時期があったようです。
 ある概念をあらわす「言葉」が必要です。日本の場合は、「漢字」を使って「言葉」をつくりました。中国語の抽象語は、日本からの再輸入品で、日本でつくられた「漢語」がなければ抽象的な話はできません。

 法律家は、日本国内の仕事をしている限り、外国語を勉強する必要もありません。
 裁判所法74条は「裁判所では、日本語を用いる」、民事訴訟154条1項には「口頭弁論に関与する者が日本語に通じないとき、又は耳が聞こえない者若しくは口がきけない者であるときは、通訳人を立ち会わせる」、民事訴訟規則138条は「外国語で作成された文書を提出して書証の申出をするときは、取調べを求める部分についてその文書の訳文を添付しなければならない」とそれぞれ定めています。

 裁判官も弁護士も、一般的にいって、外国語が全くできませんという方が多いです。
 ただ、医師は、研究職でなくとも、英語の文献を読む必要があるようで、英語が「しゃべれる」かどうかは別として、読むことができる人は多いです。


 外国の本も簡単に読めます。
 外国語の文章も、人口1億2000万人、経済的に豊かとなれば、日本語訳の本は続々出版されます。
 ちなみに、小さなヨーロッパの国、例えばオランダ語の翻訳本は少ないそうです。
 オランダ人は、ドイツ語と英語がしゃべれる野が、ある意味当然です。
 そうでない小国は気の毒ということになります。


 日本人は、英語が話せなくても仕事ができます。
 日本は小さな国と思っている方も多いと思いますが、結構、内需が大きいので、日本だけで商売をしていても、それなりに「もうける」ことは可能です。
 外交官、パイロット等の航空関係者、貿易に携わる人、ホテル等観光に従事する人くらいでしょうか。


 外国旅行も、ツアーに参加すれば、コンダクターがやってくれます。
 高級ホテルでは、日本語を話せる従業員もいます。


 必要がなければ、英語が上達しないのも当然かと思います。

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