2015年~2017年バックナンバー
国旗
天皇陛下と皇后陛下夫婦が戦没者慰霊のために海外訪問に出かけられたのは、戦後60周年の平成15年のサイパン訪問に次いで、2回目です。
終戦60年にサイパンに、終戦70年にパラオに、いずれも、第二次世界大戦の激戦地に「慰霊」のための訪問をされたということになります。
昭和天皇が、されたくてもできなかった仕事を黙々と遂行されているようにお見受けします。
日本政府が建立した「西太平洋戦没者碑」に献花黙祷し、「オレンジビーチ」の横にある米軍の慰霊碑も訪ねて献花して黙祷をしました。
パラオのペリリュー島は、日本軍1万人と1700人の米軍が戦死した太平洋戦争の最大激戦地でした。
日本軍は、強化された洞窟を利用して、持ちこたえて抵抗し、多くの犠牲者を出しました。
アメリカ軍のフィリピン侵攻を遅らせるため、粘りに粘りました。
アメリカ兵4万人、日本兵1万人(兵以外の民間人は島外に転居させていました)、アメリカ艦隊がいたわけですから、すぐに戦いが終わっても不思議ではないですが、2か月以上続きました。
平成27年4月8日、パラオに到着した天皇陛下と皇后陛下は、トミー・レメンゲサウ パラオ大統領夫妻が主催する晩餐会で、「私たちは、戦争で亡くなったすべての人々を追悼し、その遺族が歩んできた苦難の道を考えたい」と語りました。
また、出国前の出発行事で、日米双方のパラオ戦闘戦死者数を取り上げた後、「太平洋に浮かぶ島々で、このような悲しい歴史があったことを私たちは決して忘れてはならない」と述べたられました。
戦争を繰返してはいけません。
ただ、戦力を備えていないと、戦争に巻き込まれることになります。抑止力がないと逆にまずいのですね。
ところで、パラオの国旗が日本国旗と似ていることに気づいた人も多いでしょう。
日本の国旗は日章旗(太陽が昇っていく旗)です。
ただ、太陽を「赤」と表現する国に圧倒的少数で、一般に、太陽は「黄色」です。
パラオの国旗は「月章旗」といって、日章旗と同じ図柄、青は広大な南太平洋、黄色の丸は満月を表わしています。
パラオは戦前は、第一次世界大戦後、日本の委任統治領下にあって対日感情が良好であったため、日章旗の太陽と対になって友好を示す満月がデザインされているといわれます。
日本国旗を、好意的に、まねをしたということですね。
バングラデシュの国旗も、日章旗と同じ図柄、豊かな自然を表す緑の地に、独立のために流した血を示す赤い丸が描かれています。
昔は東パキスタンと言われていました。
平成26年に来日したバングラデシュのシェイク・ハシナ首相は、平成26年月5月27日早稲田大学で講演し、父親で初代大統領などを務めたラーマン氏が、独立に伴う1972年の国旗制定時に「日本に魅せられ、日の丸のデザインを取り入れた」との秘話を明かしています。
ラーマン氏は「農業国だった日本が工業国に発展したように、バングラデシュも将来は工業国になるべきだ」と話していたそうです。