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2015年~2017年バックナンバー

内閣官房法曹養成制度改革推進室・法曹人口の在り方について

 

 「内閣官房法曹養成制度改革推進室・法曹人口の在り方について(検討結果取りまとめ案)」が発表されました。

 「法曹養成制度の実情及び法曹を志望する者の減少その他の事情による影響をも併せ考えると、法曹の輩出規模が現行の法曹養成制度を実施する以前の司法試験合格者数である1500人程度にまで縮小する事態も想定せざるを得ない。
 そればかりか、このまま何らの措置も講じなければ、司法試験合格者数が1500人程度の規模を下回ることになりかねない」として毎年、1500人の合格者の提案をしています。

 司法試験合格により得られる資格は、今や「ブラック資格」とまでいわれています。
 裁判官・検察官になるものはともかく、弁護士は「お先真っ暗」です。
 法科大学院入学希望者数が少なくなりすぎです。
 下手をすれば、法科大学院入学希望者数が合格者を上回ることになるかも知れません。

 ということで、あまり弁護士を増やしすぎないようにして、有能な若者を呼び込もうと言うことですね。

 昔は、司法試験合格により得られる資格は「プラチナ資格」といわれました。
 遠い昔です。

 クレジットカードなら、「ブラックカード」が「プラチナカード」より上ですが、「資格」となると別の話で、「ブラック資格」は価値がなく、「プラチナ資格」は将来が約束されていると、天と地ほどの差があります。


 私の意見は「もう遅い」です。

 「司法試験合格者数の推移」をご覧下さい。
 
 ちなみに、私は、1977年に司法試験を受けています。

 司法修習を終えて弁護士になった人が引退するまで40年程度(30歳から70歳)です。
 あと30年は新卒が引退者を上回ります。
 状況は、年々悪化します。

 私などは70歳まで弁護士ができたとしても、あと10年強にすぎません。
 32期の同期の弁護士は、たいてい、人的・金銭的な蓄えがあります。
 あまり、悲観する必要はないでしょう。

 若い人には、「お気の毒です」「大変でしょうが頑張ってください」としか言えません。

 ただし、こうなることはわかっていたはずで、残酷なようですが「自己責任」です。

 もちろん、若い弁護士さんでも、優秀かつ商売上手な方は「稼いで」います。
 だから悲観することはないのですが、圧倒的な少数派です。

 これに対し、我々の頃は、優秀でなくとも、あるいは、商売上手でなくても、誠実にさえ仕事をしていれば、稼げたのです。

(全文)
 内閣官房法曹養成制度改革推進室において行った調査により判明した法的需要の状況及び弁護士の活動状況に照らすと、法曹人口は、全体として今後も増加させていくことが相当であると考えられる。
 そこで、新たに養成し、輩出される法曹の数として相当と考えられる規模について検討すると、現行の法曹養成制度の下で、これまで、司法試験合格者数(平成23年までは新司法試験合格者数)でいえば、おおむね毎年1800人ないし2100人程度の規模の数を輩出しているところ、この規模については、現状において、新たに法曹となる資格を得た者のうち多くのものが、社会における法的需要に対応した活動の場を得ているという点で、一定の相当性を認めることができる。
 他方、前記の法的需要に影響を及ぼし得る社会的・経済的な外的諸事情に流動的な要素もあることからすれば、相当と考えられる法曹の輩出規模はある程度の幅を持ったものとして考えるべきである。
 その上で、法曹養成制度の実情及び法曹を志望する者の減少その他の事情による影響をも併せ考えると、法曹の輩出規模が現行の法曹養成制度を実施する以前の司法試験合格者数である1500人程度にまで縮小する事態も想定せざるを得ない。
 そればかりか、このまま何らの措置も講じなければ、司法試験合格者数が1500人程度の規模を下回ることになりかねない。
 しかし、司法制度改革において掲げられた法の支配を全国あまねく実現するという理念の下で、今後も、法曹ないし法曹有資格者の活動領域の拡大や司法アクセスの容易化の進展が必要であることに変わりはない。
 そのことからすれば、新たに養成し、輩出される法曹の規模は、司法試験合格者数でいえば、質・量ともに豊かな法曹を養成するために導入された現行の法曹養成制度の下でこれまで直近でも1800人程度の有為な人材が輩出されてきた現状を踏まえ、当面、これより規模が縮小するとしても、1500人程度は輩出されるよう、必要な取組を進め、更にはこれにとどまることなく、関係者各々が最善を尽くし、社会の法的需要に応えるために、今後もより多くの質の高い法曹が輩出され、活躍する状況になることを目指すべきである。
 すなわち、引き続き法科大学院を中核とする法曹養成制度の改革を推進するとともに、法曹ないし法曹有資格者の活動領域の拡大や司法アクセスの容易化等に必要な取組を進め、より多くの有為な人材が法曹を志望し、多くの質の高い法曹が、前記司法制度改革の理念に沿って社会の様々な分野で活躍する状況になることを目指すべきである。
 なお、新たに養成し、輩出される法曹の規模に関するこの提言は、法曹養成制度が法曹の質を確保しつつ多くの法曹を養成することを目的としていることに鑑み、輩出される法曹の質の確保を考慮せずに達成されるべきものでないことに留意する必要がある。 

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