本文へ移動

2015年~2017年バックナンバー

フランス製ロシアの強襲揚陸艦

ロシアの軍需産業当局者は、平成27年5月26日、フランスがウクライナ情勢をめぐってロシアへの納入を凍結しているミストラル級強襲揚陸艦について、購入を断念したことを明らかにしました。
 タス通信が伝ました。

 ロシアは4年前、フランスの造船会社から「ミストラル級」と呼ばれる強襲揚陸艦2隻を総額12億ユーロ(日本円でおよそ1600億円)で購入する契約を結びました。しかし、ウクライナ情勢の緊迫化を受けて、フランスが去年秋に予定されていた1隻目のロシアへの引き渡しを延期していました。

 ロシアがミストラルを発注した背景には、平成20年8月のジョージア(グルジア)紛争で、旧式の揚陸艦艇が機能不全を露呈したことからです。
 ロシアはこれを機に地域紛争に際して機動力向上させる大規模な軍改革に着手し、ミストラルはその象徴と考えられてきていました。


 強襲揚陸艦(Amphibious assault ship)は、揚陸艦のうち、輸送ヘリコプター及びエア・クッション型揚陸艇を始めとした各種上陸用舟艇を搭載・運用する能力を持つ艦のことです。
 大規模なヘリコプター運用能力と全通飛行甲板が挙げられる。また大半は垂直離着陸機(STOVL機)を搭載・運用することによる揚陸支援攻撃能力をも持ちます(いずも型護衛艦はSTOVL機の搭載機能はありません。単なるヘリコプター搭載護衛艦です)。


 ロシアは、2隻の強襲揚陸艦を、北方艦隊、バルト海艦隊、黒海艦隊、太平洋艦隊のうち、ウラジオストックに配備する予定でしたが、計画は白紙になりました。


 ロシア政府は、ウクライナ情勢を受けてフランスが引き渡しを延期していた大型軍用艦の購入を断念することを明らかにし、ロシア側が求める補償金の支払いを巡って、今後フランスとの交渉は難航することが予想されます。

 ロシア側は、契約に基づき、すでにフランス側に支払った金額に加え、乗組員の訓練や港の整備の費用まで補償すべきだとして、フランス側が提示した返金額よりも、およそ500億円多く要求しているということです。

 ロシアが購入する予定だった強襲揚陸艦2艦を巡っては、ロシア極東のウラジオストクへの配備が決まっていたため、東アジアの安全保障に影響を与えるおそれがありましたが、日本は「丸儲け」です。

TOPへ戻る