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2015年~2017年バックナンバー

獣医師数

 平成29年7月25日、和歌山県の仁坂吉伸知事は、加計学園の一連の問題で、安倍首相と加計学園の理事長との関係性ばかりが報道でクローズアップされていることを嘆いきました。
 
 加戸前知事が愛媛県の獣医師不足の現状を繰返し説明していました。
 
 獣医師不足に悩んでいるのは、愛媛県ばかりではありません。和歌山県も同様です。
 
 和歌山県に所属している獣医師は現在、定員割れをしている状態です。
 
 和歌山県の仁坂知事は「県でも本当は獣医師をもっと雇いたいのに、獣医師がいない。このような状態を正当化する人たちのセンスの方がおかしい」と訴えました。
 
  和歌山県農林水産部畜産課によりますと、平成27年、28年度の獣医師採用ではいずれも1回目の募集で予定人員に達さなかったため、追加募集をかけています。
 
 平成28年度には確保した獣医師の中から辞退者も出たそうです。
 
 和歌山県の場合、採用された獣医師は、和歌山県本庁のほか、家畜保健衛生所や畜産試験場などに配属されます。
 
 鳥インフルエンザや口蹄疫といった伝染病対策も重要な職務の一つで、平成23年、紀の川市の養鶏場で鳥インフルエンザが発生した際には、所属する獣医師たちが不眠不休で消毒や防疫措置、周辺の養鶏場の検査などにあたったそうです。
 
 和歌山県農林水産部畜産課の担当者は「新たな伝染病の予防対策など業務はどんどん増えており、現在の人員で対処していくのはかなり厳しい」と指摘し、その上で、「獣医師志望の学生はほとんどがペットなどの診療を目指すため、公務員の獣医師の志願者は他地域との奪い合いになってしまう。獣医師の偏在は、地方にとって共通の問題だ」と語っています。
 
 獣医学部はここ50年新たな新設はなく、日本獣医師会は「獣医は足りている。獣医学部の新設は必要ない」と主張しています。
 
 もとより、既得権益の保護のためということです。
 
 獣医というのは、投資額に比して、割に合う仕事ではありません。
 
 6年在学しなければ国家試験の受験資格がありません。
国立大学ならともかく、私立大学なら多額の授業料が必要です。
 獣医師になったからといって、収入が、さほどいいわけではありません。
 ペットの診療所をつくろうと思うと結構お金がかかります。問診ができませんから、下手をすると人を診断する診療所よりお金をかけています。
 
 師弟に後を継がせようとするなら、獣医師学部を少ないままにして、かつ、お金にものを言わせて入学できる私立学校はそのまま、国家試験は容易にというのが理想的です。

 「加計学園」の獣医学部新設計画に関する記録文書を巡り、熱心に国会で追及している民進党の玉木雄一郎幹事長代理(衆議院議員)は、平成24年に「日本獣医師連盟」から100万円の献金を受けていたことがわかっています。
 
 玉木議員は、自身のブログで父親が香川県獣医師連盟の副会長をしており、弟も獣医であることを明かしています。
 
 また、国会の閉会中審査では、玉木議員が、加計学園の獣医学部新設について「白紙に戻して、手続きをもう一度やり直さないか」と首相に求めるという場面もありました。
 
 安倍首相に関係のないところでの獣医学部新設計画ということですから、首相が、手続きのやり直しを命じるというのは矛盾です。
 
 また、加計学園問題では、いわゆる「石破4条件」が注目されました。
 
 石破茂前自由民主党幹事長が、地方創生担当大臣だった平成26年6月30日に閣議決定されたものなのでそう呼ばれています。
 
 「石破4条件」は、獣医学部新設に関して、(1)新たな分野のニーズがある(2)既存の大学で対応できない(3)教授陣・施設が充実している(4)獣医師の需給バランスに悪影響を与えないという内容で、平成28年3月までに検討するとされています。
 
 「石破4条件」については、平成29年7月18日付産経新聞「加計学園 行政は歪められたのか」に詳しく、それによれば、平成15年9月9日、石破氏は、衆院議員会館の自室で日本獣医師政治連盟委員長の北村直人氏、日本獣医師会会長の蔵内勇夫氏に対し、「学部の新設条件は大変苦慮しましたが、練りに練って、誰がどのような形でも現実的には参入は困難という文言にしました」と語ったとされています。

 獣医師を増やしても何の問題もありません。
 医師と違って、人は死にません。
 
 また、獣医師数が増えれば、地方の県庁に獣医師がいきわたることになるでしょう。
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