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2015年~2017年バックナンバー

前川喜平氏は聖人君子か 野党や多くのメディアが無条件で正しいとみなす根拠は?

 阿比留瑠比・産経新聞社編集委員の論説です。
 

----引用開始----

 北朝鮮が日本上空を通過する弾道ミサイルを発射して一夜明けた(平成29年8月)30日、民進党は国会内で「加計学園疑惑調査チーム会合」を開いた。党代表選も9月1日に控える慌ただしい時期だというのに、その執着ぶりには恐れ入る。

 

 加計学園の獣医学部新設をめぐっては、大騒ぎを3カ月以上続けても、安倍晋三首相が不適切な介入をした証拠の一つも出てこず、違法性などどこにも見当たらない。疑惑の存在自体が「フェイク(偽物)」の様相を呈している。

 

 にもかかわらず、野党もメディアもここまで固執するのはなぜか。前文部科学事務次官というもっともらしい肩書を持つ前川喜平氏という格好の人物が登場して、「(首相官邸に)行政がゆがめられた」と証言したことに、「安倍政権打倒に利用できる」と飛びついたからだろう。

 

 そして野党も多くのメディアも、今では前川氏をまるで無謬(むびゅう)の「聖人君子」のように持ち上げている。安倍政権側が前川氏の発言に反論し、その不適切な言動を指摘すると、過敏に反応してかばう。例えば朝日新聞の関連社説で目についたものの一部を紹介すると、次のようである。

 

 「(菅義偉官房長官は)文科省の天下り問題を持ち出し、前川氏に対する激しい人格攻撃を始めた」(5月26日付)

 

 「前川氏に対する人格攻撃を執拗(しつよう)に続け、官僚がものを言えない空気をつくってきたのは首相官邸ではないか」(6月10日付)

 

 「最初に証言した前川喜平前次官を菅官房長官が攻撃し、義家文科副大臣は国会で、内部告発者を処分する可能性をちらつかせる答弁をした。考え違いもはなはだしい」(6月16日付)

 

 「『総理のご意向』文書の存在を前川喜平・前文部科学次官が証言すると、菅官房長官は前川氏の人格攻撃を始めた」(6月18日付)

 

 「(前川氏の国会証言は)国会の場で、国民の代表の質問に答えた重い発言である」(7月11日付)

 

 一読、異様である。座右の銘は「面従腹背」だと言い放ち、現役官僚時代に風俗店に通って女性を連れ出し、小遣いを与えていたことを「女子の貧困実態調査」だと言い訳した前川氏を、無条件で正しいとみなす根拠は何なのだろうか。

 

 朝日は国会で閉会中審査が行われた翌日の7月11日付朝刊社会面でも、「『個人攻撃』に前川氏反論」との見出しの記事を掲載している。記事は、前川氏の証言に疑問を示す議員の質問については「個人攻撃とも取れる質問」と書くが、前川氏批判は許されない行為だとでも言いたいのか。

 

 朝日だけではない。毎日新聞も同日付朝刊の1面コラムで、教育行政のトップだった前川氏の座右の銘が面従腹背であることについて、「国民と同じ良心や常識を守るための隠れみのだったのか」と無理やり解釈して称揚していた。

 

 だが、そもそも前川氏は文科省の違法な天下り斡旋に深く関わり、引責辞任した人物である。今年2月7日の衆院予算委員会に参考人として出席した際には、「万死に値する責任がある」「順法意識の欠如があった」と述べていた。

 

 文科省が(平成29年)3月30日に公表した「文部科学省における再就職等問題に係る調査報告」は、前川氏に関して「自らが再就職あっせんに関与していた」「違法行為が実施されることが推測できた」と記し、国家公務員法違反を犯していたことを繰り返し指摘している。

 

  「法律に違反した前川氏が、税金から巨額の退職金(推定5610万円)を受け取ることは許されない。自主的に返納すべきだ」

 

 民進党の江田憲司代表代行は2月の時点では、前川氏に対しこう批判していた。毎日は2月8日付社説で「ルール破りにあきれる」と書いた。ところが現在、民進党もメディアも、天下り問題には触れない。

 

 かつて厳しく指弾した相手でも、安倍政権攻撃に利用できるとなれば手のひらを返して粉飾し、美化する。あまりのご都合主義に情けなくなる。

 

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 日本の一部のマスコミは、事の軽重や、優先順位と言うことを全く考えていないのでしょうか。

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