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2015年~2017年バックナンバー

1万円札廃止論

 アメリカ・ハーバード大のケネス・ロゴフ教授(64)の著書「現金の呪い 紙幣をいつ廃止するか?」は、高額紙幣の廃止を訴えています。
 
 高額紙幣を廃止することで「(1)マネーロンダリング(資金洗浄)や脱税、収賄などの犯罪を抑止できる(2)マイナス金利政策の効果が大きくなる」と主張しています。
 
 聖徳太子の肖像画のある初代1万円札の発行は、昭和33年12月1日です。
 
 昭和59年11月1日、福沢諭吉の肖像画の2代目1万円札が発行されました。
 
 そして、平成16年11月1日、同じく福沢諭吉の肖像画の現行の3代目1万円札が発行されました。
 この期間、日本の最高額のお札は1万円のままです。

 ロゴフ氏は、国際通貨基金(IMF)でチーフエコノミストを務めた経験もあるマクロ経済学のスペシャリストで、ロゴフ氏は「現金の利便性を確保しつつ、地下経済に関与する企業や個人が大口の現金取引をおいそれとはできないようなシステムを設計する必要がある」と訴えています。
 
 日本に対して、5年~7年程度かけて、1万円札のほか5000円札を廃止し、現金の少ない社会に移行することを提案しています。
 
 平成27年の主要国通貨流通量の対国内総生産(GDP)比率を見比べると、日本は18.61%と突出して高く、先進国では、アメリカ国も英国も10%に満たない水準であり、日本は通貨流通量に占める最高額紙幣の比率も高く、日本は88%に対し、アメリカ国は78.4%、英国は18.5%にとどまっっているそうです。

 日本では、平成28年、世の中に出回るお札の額が初めて100兆円を突破しています。
 
 預金金利の低下で銀行にお金を預けておくメリットが薄れたことで、自宅で現金を保管する「たんす預金」が増えたもようです。
 
 平成30年から預金口座に任意で紐付けする「マイナンバー制度」が始まることも、「税務当局に保有資産を捕捉されたくない」と考える個人による現金需要を押し上げたと見られています。
 
 日本で現金需要が高い背景について(1)現金決済を好む国民性(2)低金利で銀行預金を保有するインセンティブが低下(3)現金を持ち運ぶことの不安が比較的小さい(4)どの地域でも現金が不足する事態が生じにくい(5)紙幣のクリーン度が高い、などと整理されています。
 
 日本の場合、1万円札の多さだけで、地下経済が膨れているというのはいささか乱暴な議論ですね。
 
  現金が犯罪行為に利用されていることを間接的に助けているとの一部の意見は誤りでしょう。
 
 なお、アメリカで現在新規に発行されている最高額の紙幣は100ドル札です。
 ユーロは、新規に発行されている最高額の紙幣は500ユーロ札です。平成30年末で、500ユーロ札の発行は停止され、最高額が200ユーロになります。
 スイスで、新規に発行されている最高額の紙幣は1000スイスフランです。
 
 日本の1万円札は、先進国の通貨で最低額です。
 ただし、日本で、5万円札や10万円札がいるかどうかはわかりません。いらないと思います。

 ちなみに、ドル札は10ドルか20ドルまで、ユーロは、せいぜい50ユーロまででないと受け取ってもらえないことがあります。両替の時は気をつけた方がいいですね。
 
  スイスフランは、日本と同じく100フラン札が平気で使われています。
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