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2015年~2017年バックナンバー

平成29年度司法試験

 法務省は、平成29年9月12日、平成29年の司法試験の合格者を発表しました。

 

 合格者数は1543人で昨年より40人減少しました。

 

 合格率は25.8%と前年(22.9%)を上回わりました。法科大学院を修了しなくても受験資格が得られる「予備試験」経由の合格者は前年比55人増の290人で過去最多を更新しました。

 

 平均年齢(平成29年12月末時点)は28.8歳で、最年長は71歳、最年少は21歳でした。

 

 司法試験の合格者数と合格率を法科大学院別にみると、1位は「予備試験合格者」で合格率は72.5%で、法科大学院を修了した合格者の学校別の合格者は慶応大の144人(45.4%)、東京大134人(49.4%)、中央大119人(26.2%)、京都大111人(50.0%)、早稲田大102人(29.4%)となっています。

 一方、合格者を出せなかった法科大学院は、広島修道大や東洋大など5校ありました。

 

 予備試験経由の合格率は72.5%で、すべての法科大学院を上回わりました。


 完全に予備試験合格者への差別ですね。

 

 その昔、司法試験予備試験というコラムを書いたことがあります。平成20年ですから9年前のコラムです。
 

 私が受験した司法試験は、現在では「旧」司法試験と呼ばれるようになってしまいました。

 

  司法試験は、学歴、年齢、学歴、性別、国籍、経済力などの差別は一切なし、実力のあるものは合格するという公平なものでした。

 

  司法試験に合格すれば司法修習生として給料をもらえ、2年間の修習をし、2回試験に合格すれば、裁判官、検察官、弁護士になれました。

 

  「旧」司法試験の合格者の推移は以下のとおりです。
 法科大学院制度の導入で、平成18年度から減少しています。

  平成元年    523
  平成2年    506
  平成3年    616
  平成4年    634
  平成5年    759
  平成6年    759
  平成7年    753
  平成8年    768
  平成9年    763
  平成10年   854
  平成11年 1,038
  平成12年 1,026
  平成13年 1,024
  平成14年 1,244
  平成15年 1,201
  平成16年 1,536
  平成17年 1,454
  平成18年   542
  平成19年   250
  平成20年   141
  平成21年   100程度
  平成22年   100よりさらに減少
 

 平成22年度に「旧」司法試験の新規受験者がいなくなります。

 

  予備試験の合格者の大半が、2年間の法科大学院通学による時間の無駄、費用の無駄を考えて、能力に自信のある大学4年生により占められると思われます。

 

 そして、法曹の道を選択する人は、2年間の法科大学院組より2年早く、裁判官、検察官、弁護士になるでしょう。

 

 また、学者志望、上級職国家公務員試験志望の大学4年生が受験し、単なる「勲章」となり、合格しても司法修習生にならない人も増えるでしょう。

 

 昔は、22歳で修習生になり、2年間の修習をし、2回試験に合格すれば、24歳で裁判官、検察官、弁護士になっていたのが、22歳で修習生になり、1年間の修習をし、2回試験に合格すれば、23歳で裁判官、検察官、弁護士になれます。

 

  2年間の法科大学院通学による時間の無駄、費用の無駄を考え、優秀な学生は、早く裁判官、検察官、弁護士になりたがります。

 

 私は、以前のコラム に「24歳で裁判官になった人と、30歳で裁判官になった人との収入差は、一見、最初の6年の3000万円程度の差のように見えますが、実際は、最後の6年の1億数千万円の差が生涯賃金の差になります」と記載しています。

 

 予備試験の趣旨である「経済的理由など諸般の事由で、法科大学院に入学できない方でも、法曹界への道を残すという見地」というお題目は立派ですが、結局、優秀な大学4年生のショートカットを何人まで認めるかという問題になりそうです。

 

 ちなみに引退していく法律家は、平成2年度(1990年)合格者が、司法修習2年、弁護士40年で引退するとして、2032年までは500人にすぎません。

 1500人が合格し、500人が引退していき、1000人増えていくということが、あと17年続きます。

 17年後には弁護士が1万7000人増えています。

 

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