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身近な法律問題

裁判員制度離陸

裁判員制度が、平成21年5月21日に施行され、同年7月下旬以降に実際に裁判員が加わる裁判が開始される予定です。

この裁判員制度ですが、すこぶる評判が悪いです。

私の顧問先は、実質個人・同族経営で、信用をつけるための会社が多いですから「裁判員に選ばれたらどうしよう」という質問を、代表者からされることが結構あります。
「営業妨害もいいところ」というところです。

「重要な用務であって自らがこれを処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがある」 との辞退の理由となりますから大丈夫ですよとは説明しています。
会社が、社長個人の信用で持っている場合、社長が1週間不在で、即「倒産」してしまいます。

そうでなくとも、雑談の中で、「裁判員だけはあたらないように願っています」という依頼者者も多いですね。

ちなみに、事務員には「『悪いことをしたらすべて最高刑』というか『法律事務所の事務職員なので、弁護士から、事件の如何に関わらず、すべて無罪の評決をしてくれと頼まれています』といえば、裁判官と検察官が、除外してくれるよと言っています。

まあ、私と話した人との話を聞く限り、裁判員制度を「ほめた」人は一人もいません。
最初から、制度づくりに問題があったのかも知れません。

対象とする事件が悪すぎます。
通常の人が、貸金の返還、建物明渡し、交通事故、離婚などのやりとりを見て、どちらが正しいかどうか判断するくらいなら、1、2日で十分と拘束期間も短く、裁判官の見る目がどのようなものか、自分の「役にもたつ」かも知れませんし、そのような事件こそ、裁判員制度に導入すればよかったと思います。

裁判員制度の対象は、私が裁判官から弁護士になって満19年になろうとしていますが、わざと避けてきた凶悪事件、これからも避けて弁護士生活を終えるであろう凶悪事件ですから、これらの事件について「素人」の参加を求めるというのは、何を考えて事件の基準を考えたのかわかりません。

また、それほどの凶悪事件を1週間で結論を出してしまおうというのも、常識からして無理な話です。
相当な誤審が出て、高等裁判所は忙しくなるのではないでしょうか。

弁護士の体制も不十分ですね。
基本的に、弁護士は刑事事件は、実質的に「ボランティア」でしょう。
また、実際、大多数の県では、地元の弁護士だけでは、弁護人団が組めずに、他府県から応援を呼ばなければならないことが多くなるでしょうね。
金にもならない事件に1週間張りついていたのでは、本来の採算事件に支障が出てきてしまいます。

いよいよ、裁判員制度の「離陸」が迫ってきました。
裁判所は、面子にかけても、実施するでしょう。

ハドソン川に不時着したUS Airways機のようにはいかず、ニューヨーク州バッファローに墜落したContinental Airlines機のようになると思っています。

失敗する方に「スーパーひとし君」をかけます。

なお、買春、ストーカー、準強制わいせつと続いた男性職業裁判官の隣席は、男性を配置すべきででしょうね。

西野法律事務所
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