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身近な法律問題

塀の所有者は

隣接した土地があり、それぞれに家が建っているとします。
 その間の境界線はどうなっているでしょうか。

 普通はブロック塀やコンクリート塀がたっています。

 どちら所有のブロック塀やコンクリート塀かというと、建物の注文者が同一でない限り、先に家を建てた方所有のブロック塀と思ってほぼ間違いないでしょう。
 建売住宅のように、同じ注文主が建てた場合は、境界線上に共有の塀がたっているという場合もありえますが・・

 理由を説明します。
 まず、民法252条には、以下のとおり定められています。
 「1 二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができる。
  2 当事者間に協議が調わないときは、前項の囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ二メートルのものでなければならない。 」

 新しく家を建てようとするときに、境界が板塀又は竹垣だったのでは「さま」になりませんから、通常はブロックかコンクリートですね。
 そして、あとから家を建てようとする人は、隣地所有者が、絶対自分の敷地上にたたないことがわかっているのですから、ブロック塀を境界線にまたがって隣地所有者と一緒につくろうという殊勝な人はまずいません。

 また、刑法235条の2には、以下のとおり定められています。
 「他人の不動産を侵奪した者は、10年以下の懲役に処する。」

 ということで、先に家を建てようとする人は、ブロック塀を境界線にまたがって、隣地所有者と一緒につくろうと考えるのですが、隣地所有者は、前記のとおり、相手が、自分の新築の家にあわせて、自分の土地内にブロック塀を建てるのがわかっていますから「知らない顔」をします。

 すると、先に家を建てようとする人は「板塀又は竹垣その他これらに類する材料」では、自分の新築の家が見すぼらしくみえますし、また、隣地にブロック塀を越境させたのでは、不動産侵奪罪に該当しますから、「泣く泣く」自分の敷地内にブロック塀を建てなければならなくなります。
 「後手必勝」の勝負です。

 ということで、建て売り住宅でもない限り、隣地の所有者は、自分が「損」をし、隣の人が「得」をします。
 もっとも、ブロック塀の幅が10センチメートル、5センチメートル損をするとして、20メートルの境界線で、高々1平米=約0.3坪です。
 坪100万円の土地としても、30万円です。大阪でいえば阪急デパート前あたりなら、ものすごい金額でしょうが・・

 実際、損をしても得をしてもも、微々たるものです。
 ただ、先につくった方が、犠牲になっているということで「威張り」、後につくった方が、得をしているということで「もうけた」という一方で「引目を感じる」ことが多いようです。
 まあ、先に家を建てた方が謙虚な振る舞いをするのが「大人」というものでしょう。


 ちなみに「ベルリンの壁」は、境界線に沿って、旧東ドイツ領内(ソ連占領地)にたてられていました。旧西ドイツ領(イギリス、アメリカ、フランス占領地)には、全くかかっていません。

西野法律事務所
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