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身近な法律問題

原告も結構負けています

 最高裁判所の統計資料 によれば、地方裁判所民事第一審における、原告の請求に対する認容率は、以下のとおりだそうです。

通常訴訟 内人証調実施
平成9年 85.8% 71.4%
平成10年 86.8% 70.7%
平成11年 86.1% 69.9%
平成12年 85.2% 68.7%
平成13年 85.3% 68.7%
平成14年 84.9% 68.2%
平成15年 85.2% 68.7%
平成16年 84.1% 67.4%
平成17年 83.4% 65.4%
平成18年 82.4% 63.5%
(註)認容率とは、判決総数に対しての認容件数の占める割合である。
    通常事件には医事関係訴訟を含む

 ちなみに、訴訟は、判決で終わるものではなく、和解や取下げなど判決以外により終了する事件がありますが、ネット上で統計資料をみつけることはできませんでした。
 また、和解については、原告が勝訴的な和解をしたのか、敗訴的な和解をしたのか、中をとったような和解をしたのかなどについての統計は、最初からないと思います。

 一見、通常訴訟の判決は、原告が圧倒的に有利なように見えます。
 ただ、判決認容率ですから、欠席裁判、公示送達による裁判、争いのない裁判(例えば、資力のない者に対し訴訟を提起し、被告が出頭したものの「手許不如意で支払えない」と述べた場合など)など、実質的に争いのない裁判が結構あります。

 被告が争った裁判が判決に至った場合の認容数は、「人証調実施」のパーセンテージを見れば、一目瞭然で、平成9年に71.4%であったものが、10年後の平成18年には63.5%まで落ちているということがわかります。
 また「認容数」には「一部認容」が含まれていますから、単純に「原告」が「勝った」ともいえません。
 交通事故による損害賠償請求訴訟では、保険会社が「いくらまで出す」といい、その金額に不満な被害者が訴訟を提起するわけですから、一部認容の中には、保険会社の主張の線に沿った判決もあり、その場合には、実質原告が敗訴したことになり、「原告」が「勝った」パーセンテージは、もっと少なくなります。
 逆に、医療過誤訴訟などの特殊事件については、原告の勝訴率が低いものがあり、それを含めた「認容率」ですから、一般的な事件については、「認容率」が高いのかもしれません。

 私の実感からすると、原告は、勝算があるから訴訟をしているはずであり、いざ判決になると、平成18年には4割近くも完全敗訴しているというのは「意外」な気がします。

 「無理筋」の訴訟が増えているのでしょうか。

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