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交通事故

賠償額が一番大きい事件

交通事故で、被害者が一人だとします。
 一番損害賠償額が多いのは死亡事故だと思いますか?
 答えは「ノー」です。

 寝たきりや、植物人間など、高度後遺障害の方がずっと賠償額は高額になります。

 理由は、そんなに難しくありません。

 まず、慰謝料については、死亡事故と、植物人間(蔓延性意識障害)など高度後遺障害者にしてしまった事故、後遺障害等級1級の後遺障害の慰謝料が同額と解されています。働けなくなっても、後遺障害等級2級の後遺障害の慰謝料は若干安くなっています。

 次に、死亡事故なら、将来の看護費用は要りません。
 植物人間などの高度後遺障害者にしてしまった事故の場合は、死亡までの看護費用が賠償額に加算されます。
 つまり、将来の看護費用は、植物人間などの高度後遺障害者にしてしまった事故が結構な金額になるのに対し、死亡事故は0です。

 さらに、逸失利益(将来得るであろう収入を失ったことによる損害)にも差違があります。

 死亡事故の場合、被害者は、将来収入を得るであろうけれども、自分自身の生活費が不要となるから、その分は賠償額から差し引かれます。生活費控除といわれます。独身男性50%、結婚している男性30%~40%、女性は結婚しているかどうかにかかわらず30%が相場です。男性の方が浪費癖があるのでしょうか。
 しかし、植物人間などの高度後遺障害者にしてしまった事故の場合、自分自身の生活費は必要なわけで、生活費控除はされません。

 以上の理由で、死亡事故より、植物人間(蔓延性意識障害)などの高度後遺障害者にしてしまった事故が高額となるのです。

 ちなみに、過去には、植物人間の余命は10年と言い切ってしまった恐ろしい判例もありましたが、一般には平均余命と解されています。
 もっとも、植物人間となってしまうと寿命が短くなる場合があり、死亡の恐れがあれば、原告代理人は、早く、示談交渉をまとめた方が有利になりますし、逆に、被告は示談交渉をゆっくりやったほうが有利になります。
 原告代理人が、何の前ぶれもなしに、示談を早くすすめようとしたら、被告代理人は、病状を確認した方がいいのかも知れません。

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