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旅・交通 バックナンバー1/2

羽田空港のハブ化

前原国土交通大臣が「羽田をハブ空港に」と発言して議論を呼びましたね。

 千葉県の森田知事や大阪府の橋下知事が怒っていた理由は、羽田空港がハブ空港になると、成田空港や関西空港の利用客が減ってしまうことが予想されるからです。

 現在、成田空港の国内線は、伊丹空港、名古屋空港、千歳空港、仙台空港、小松空港、広島空港、福岡空港、那覇空港の8空港にしか飛んでいません。
 これらの空港を利用できる人は、羽田に飛ばなくても、直行便がない場合でも、成田で乗換えて、世界各国に飛び立てます。つまり、関西圏、名古屋圏の人たちは、成田との便が結構ありますから、わざわざ、伊丹空港、名古屋空港から羽田空港に行く必要がないということになります。
 これに対し、新千歳空港、仙台空港、小松空港、広島空港、福岡空港、那覇空港の便数は少なく、これらの空港の利用者は、その日に乗り継げず、前泊、後泊する必要も多いでしょうね。

 ということで、首都圏、関西圏、中部圏以外の地方土地在住者が外国旅行しようとするとき、地方都市→羽田→(陸路)→成田→外国というルートではなく、地方都市→韓国ソウルの仁川(「インチョン」です。兵庫県の「にがわ」ではありません)国際空港→外国というルートをとるようになってしまう、国内にハブ空港があれば、地方空港とハブを結ぶのは国内の航空会社で、そこから外国へ行くのも国内の航空会社なのに、その乗客を韓国側に奪われる、また、ハブ空港には人やモノが集まって、国際競争力が上がり、経済発展にもつながるのに、その機会も奪われかねないという理屈になります。

 現実はそうでしょうか。

 まず、大韓航空の就航している地方空港(成田空港、羽田空港、関西空港、中部空港をのぞきます)は、札幌空港、青森空港、秋田空港、新潟空港、小松空港、静岡空港、岡山空港、福岡空港、大分空港、長崎空港、鹿児島空港です。
 そして、アシアナ航空が就航している地方空港(成田空港、羽田空港、関西空港、中部空港をのぞきます)は、旭川空港、仙台空港、福島空港、富山空港、米子空港、広島空港、高松空港、松山空港、広島空港、福岡空港、熊本空港、宮崎空港、那覇空港です。

 しかし、大韓航空とアシアナ航空は地方都市にたくさん飛んでいるように見えますが、毎日(デイリー運行)ではなかったり、飛行機自体が、ソウルを朝発ち、地方都市に午後着、その機材で夕刻ソウルに戻ってくるというパターンになっています。
例外は、福岡空港(のうち1便)、岡山空港、新潟空港、広島空港発着が、日本にナイトステイ、つまり、日本からすると、朝発の夕刻かえりということになります。

 これでは、ほとんどの欧州やアメリカ東海岸には乗り継げません。
 つまり、ソウルで一夜を明かす必要に迫られます。
 日本国内である羽田や成田で一夜を明かすのと、目的地でもない外国であるソウルで一夜を明かすのとでは、前者を選ぶ人が多いに決まっています。
 つまり「仁川国際空港にハブ機能を奪われている」というのは正しくありません。
 さらに、外国旅行慣れしていない人が、欧州やアメリカ東海岸へのフライトに、わざわざ大韓航空とアシアナ航空を使うとは思えません。安いパック旅行の客を別として。


 また、仮に、羽田をハブにしても、羽田発の航空券は、成田発の航空券より価格が高くなるでしょうから、成田空港の遠さをいまいましく思っている首都圏のビジネスマンや余裕のある人、あるいは、京阪神や名古屋圏のビジネスマンや余裕のある人が、航空券を買い占めてしまうでしょう。
 いずれにせよ、地方在住者の貧乏旅行には使えません。

 現実的には、羽田空港だけでは、全ての航空需要を満たすことなどできるはずはなく、どうしても首都圏に成田は必要でしょうね。

 羽田空港発着の航空券は高くなり、成田空港発着の航空券は安くなり、それなりに利用客が調整されるでしょう。
 成田空港も羽田空港も、より自由に国内線や国際線を飛ばすようにして、その利用料金などは、需給のバランスで市場が決めるようにすればいいだけの話です。

 外国からくる旅行客は、お金を持っている人は多少航空運賃が高くても便利な羽田を選び、それなりの人は、多少の不便は堪え忍んでも成田を選ぶでしょう。
 首都圏、京阪神、名古屋圏以外の地方都市の人々が海外に向かう場合には、成田を選ぶか、それとも羽田を選ぶかについては、やはり「懐具合」ですね。

 羽田・北京の直行便が発着するようになりました。成田・北京より往復で1000元(1万4000円)高いそうです。でも。リムジン往復6000円+時間のロスを考えれば、勘定のできる人なら、羽田を選ぶでしょうね。
 
 なお、九州や日本海側の空港から仁川国際空港に向かう利用者は、目的地と逆行する時間的なロスを考えて、成田空港でも羽田空港でもなく、仁川国際空港を選ぶと思います。
 あとは、ある意味「特別な」な地域の住民以外がどう考えるかですね。

 ちなみに、関空で行けない国や地方には、私は伊丹・成田経由でいきます。伊丹・成田は結構便数がありますから、羽田乗換えなんかバカらしくてできません。
 もっとも、予約を早くしないと成田便はすぐ満席になりますから、予約が出発間際のときは、伊丹・羽田しか選択肢はありませんので、やむを得ませんね。

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