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旅・交通 バックナンバー2/2

クリスマス市

少し気が早いですが、クリスマス・マーケットのお話をしましょう。

 クリスマスは、イエス・キリストの誕生を祝う祭りですが、客観的にみると、イエス・キリストの誕生は12月25日ではないでしょうね。
 イエス・キリストの生誕を描いた絵画は多数ありますが、いくら、場所がイスラエルであるとはいえ、真冬である12月25日の様子ではありません。

 12月25日というと冬至のころですよね。
 冬至は、一年で一番夜が長い日、夜が最長、昼が最短であり、これが転じる日です。

 緯度の高いヨーロッパは、冬至の季節ともなると、午前10時に太陽が昇り、午後4時には太陽が沈みます(ボン市の場合)、そして、太陽が昇っている間も、厚い雲に覆われていて、太陽が、うっすらとしか見えません。
 ヨーロッパの人でも陰鬱な気分になる人が多いといわれています。
 これが、冬至を境に、日照時間が長くなる一方となります。

 ヨーロッパで信じられていた原始・太陽信仰では、冬至の日に太陽が死に、そして冬至の火に太陽が再生する日としてとても重要な日とされてきました。
 冬至は「蘇生の儀」の日のことになります。

 この太陽信仰と、キリスト教が一緒になり、イエス・キリストの誕生日を12月25日にして、盛大な祭りにしようということになったと言われています。


 クリスマスマーケットに話を戻して、ドイツやオーストリアの都市の広場で「アドベント」に行われるイベントが開催されます。

 アドベント(Advent) とはキリスト教において、イエス・キリストの降誕を待ち望む期間のことで、日本語では「待降節」「降臨節」と訳されます。
 11月30日に最も近い日曜日(11月27日から12月3日の間の日曜日)からクリスマスイブまでの約4週間のことで、ろうそくを4本用意し、最初に1本目のろうそくに火をともし、第2、第3、第4と週を追うごとに、火をともすろうそくを増やしていくという習慣があります。

 ドイツ圏ではほぼ全ての都市、小都市で行われるといっていいでしょう。
 その期間、開催されるのが、クリスマス・マーケットです。

 ドイツ語では、Weihnachtsmarkt(バイナハツ・マルクト)と呼ばれますが、日本においては親しみやすい英語の「クリスマス・マーケット」という言葉がよく用いられています。

 ドイツ語圏の各都市には、中心にMarktplatz(マルクト・プラッツ。英語で、マーケット・プレース)と呼ばれる広場があり、その中心に、大きな仮設の塔が置かれます。
 この広場などで、暖められたワイン( Gluehwein )やホットチョコレートが売られ、これがマーケットの中心になります。
 その他、日本の縁日のように、広場や通りに出店が並び、簡単な食事や土産物が売られ、台所用品など実用品も売る店もあります。
 メリーゴーランドや観覧車なども設置され、華やかなライトアップで飾られ、見ているだけでも楽しいものです。 
 基本的にクリスマスイブまでの毎日開催されます。夜だけではなく、人はまばらですが、昼も開催されています。

 このようにして、太陽が蘇生する日を待ち続けつつ、陰鬱な日々を耐えようとしているのですね。
 冬にも日照が燦々とふりそそぐ、日本のような「冬きたりなば春遠からじ」とは全くスケールが異なります。冬至が来れば、後は日照時間が長くなる一方なのですから、それを4週間ずっと待ち続けます。

 クリスマスマーケットはドレスデンが発祥と言われていますが、ニュールンベルク、ビュルツブルク、ミュンヘン、フランクフルト、ローテンブルク、レーゲンスブルクなどのドイツ各都市のもののほか、ウィーン、ザルツブルク、リンツなどのオーストリア各都市、その他、現在のところフランス領となっているストラスブール(シュトラスブルク)などでも開催されます。


 そろそろ、ツアーの申込みをする時期ですね。
 時間がとれれば一度行かれてはどうでしょう。
 閑散期ですから、お安く行けます。

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