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旅・交通 バックナンバー2/2

電車の接続

JRの他の路線の電車が遅れいるため、自分の電車が遅れているというアナウンスを聞いたことありませんか。

 これは、電車の「接続」ということによるものです。

 例えば、福知山線は、全ての列車が、東海道本線を経由して大阪駅、あるいは、東西線を経由し片町線(学研都市線)に乗り入れます。逆に、神戸方面から来た東海道本線の列車は、東海道本線を経由して大阪駅、あるいは、東西線を経由し片町線(学研都市線)に乗り入れます。
 逆方面から来た電車も同じようになります。

 これらの電車は「接続」といって、福知山線から尼崎へ来た乗客が、大阪方面、片町線方面どちらでも行けるように、また、東海道線神戸方面からから尼崎へ来た乗客が、大阪方面、片町線方面どちらでも行けるようにダイアをくんでいます。
 逆も同じです。
 ほぼ同時刻に電車を停止させ、乗客を時間のロスなく乗り換えさせるという便宜をはかります。

 また、尼崎駅は、神戸方面から京都方面への新快速・快速電車と普通電車の乗換駅になっていますし、逆方面の新快速・快速電車と普通電車の乗換駅になっています。

 これら自体は悪くありません。
 時間どおり運行していれば理想的です。
 しかし、どれかの電車が遅れると「接続」のため、他の電車が「時間待ち調整を」します。
 1本の電車が遅れると、他の電車が出発できなくなります。
 これを原因の一つとして、福知山線電車脱線事故で、多数の尊い命が失われたのは、皆さんご存じのとおりです。福知山線から東西線への快速電車が遅れると、神戸から京都方面の快速(新快速)、普通が巻き添えを食らいます。場合によっては、「はるか」が遅れ、巻き添えをくって関空・紀州路快速、大阪環状線や奈良線が遅れることもあり得ます。

 「大きい」「接続」の例では、 JR西日本福知山支社と北近畿タンゴ鉄道が、大阪駅と京都駅を始点として、北近畿の主要都市や観光地を結ぶ特急の運行内容を整理し、京都から福知山(JR)、大阪・尼崎から福知山(JR)、福知山から城崎・鳥取(JR)、福知山から舞鶴(北近畿タンゴ鉄道)の各特急の運行ルートが福知山駅を交点として、できるだけ近接して電車を停車させて、乗客の乗換えの時間がかからないようにしています。
 おおげさですが「ビッグX」と呼んでいます。もともと、1時間に1本来るか来ないかの過疎線ですから、30分も乗客が待たされたら(あるいは、乗り換えしようとしたら、目的の電車が出発した直後だったら)、えらいことになるでしょう。
 尼崎を中心とする4路線の接続は、さしずめ「スモールX」でしょうか。

 日本ではあまりお目にかからない「接続」ですが、ドイツ鉄道は、「接続」(Anschluss)が当たり前です。

 ドイツは日本と違い中央集権的な国家ではなく、各都市の規模に大きな差異がありませんから、日本のように、新幹線の「背骨」を走らせ、そこから、昔流に言えば「○○本線特急」が走り、さらに、普通電車や枝線への電車が出ているわけではなく、極端な話をすれば、日本の電車を「魚の骨」にたとえると(フランス国鉄も、日本と同じようになっています。極端な場合は、直行の列車が少なかったり遅かったりして、パリ経由の方がかえって早かったりします)、ドイツの電車は「碁盤の目」のようになっています。

 南から来た電車は、北向きの左右どちらの電車でも乗れるように、また、 西から来た電車は、東向きの左右どちらの電車でも乗れるように、同一時刻に電車が到着しておきようにしておいて、向かいのホームに止まっていいる 電車の乗り換えの便宜をはかります。

 これは、一面便利ですが、どの電車が遅れても、他の電車が待っていますから、遅れることになります。
 おまけに、電車は、ドイツ国内だけではなく、イタリア方面からスイス経由で来た国際電車、オーストリアやチェコ方面から来た国際電車、フランス国内からベルギー経由などで来た国際電車、オランダやデンマーク方面から来た国際電車もありますから、最初からドイツ国内に入る時点で既に遅れているという可能性があります。

 ということで、ドイツのダイヤは、かなり遅れます。
 優等列車(特急など)に先だって、近郊電車(各駅停車)が走るわけには生きません。大事故のもとです。

 ドイツの表示板は、「何分遅れ」という表示があるのですが(電光式ではなく、空港の「バタバタ」という表示板と同じ仕組みが多いです)、約5分遅れ、約10分遅れ、約15分遅れはともかく、約30分遅れとか、さらに、約1時間遅れとかの表示板が用意されています。
日本で、それをやったら「乗客」の「反乱」がおきるでしょう。

 ということで、ドイツの電車の時刻は、かなり「いい加減」です。
 日本なら、発車時刻に少しでも遅れると、完全にアウトですが、ドイツなら「ダメモト」で行くと、まだ発車前だったりします。
 日本に帰国してから、しばらくは、ドイツの癖が抜けず、もしかしたら出発していないのではと、一縷の望みを持ってホームに行くと、定刻に発車した後だったということが、よくありました。

 ドイツでは、国際列車の存在や、「接続」を徹底していますから、ドイツの鉄道は、時間に「いい加減」です。
 これに対し、日本の列車は、国際線がないですし、接続は限られていますから、時間に正確です。
 もっとも、福知山線の事故以降、JRの遅れは常態化しています。
 何とかならないものでしょうかね。

 ちなみに、同じ公共交通機関でも、航空機は、ドイツの方が正確ですね。
 日本みたいに遅れてくる乗客を根気よく待ちません。なお、チェックインして荷物を預けいてる人は、保安上の理由で荷物を搬出しなければなりませんが、荷物を預けていない客は、待たずに出発します。


   
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